2000 Fiscal Year Annual Research Report
脳梗塞超急性期の灌流MRIによる脳循環動態の評価と梗塞巣および臨床症状の進展予測
Project/Area Number |
12770331
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
山口 博 日本医科大学, 医学部, 助手 (10322520)
|
Keywords | 脳梗塞急性期 / 灌流MRI / rCBV画面 / MTT画面 / rCBF画面 / 拡散強調MRI |
Research Abstract |
今回われわれは、脳梗塞急性期の灌流MRIから得られる相対的脳血液量(relative cerebral blood volume以下rCBV)、造影剤の平均通過時間(mean transit time以下MTT)、相対的脳血流量(relative cerebral blood flow以下rCBF)の計算画面の所見からその後の脳梗塞の進展を予測可能か否か、また可能であればどの画像が進展予測に最も適しているかを以下の方法を用いて検討した。 (研究の方法) 脳梗塞急性期発症12時間以内に拡散強調MRI、造影剤を用いた灌流MRIを施行。見かけの拡散係数(apparent diffusion constant以下ADC)画面を算出し、亜急性期のT2強調画像との比較を行い、病巣を次の3つの領域に分けた。a):対側に比しADCの有意の低下が見られる領域、b):ADCの低下はみられないが後に梗塞に陥った領域、c):a)の周囲でADCの低下が無く梗塞に陥らなかった領域。これらの領域において、造影剤を用いた灌流MRIよりrCBV、MTT、rCBFを計算し、各々の値について最終的に梗塞に陥る閾値を設定出来るか否かを判別分析を用いて検討した。 (結果と考察) 3つのパラメーターから得られた閾値のうち、感度、特異性とも最も高かったのがrCBFであり、この値が対側の61%以下に低下した領域は拡散強調MRIよる虚血部位の描出の有無に関わらず、その92%が最終的に梗塞に陥った。 すなわち脳梗塞超急性期の循環動態の評価を、造影剤を用いた灌流MRIのパラメーター画面の1つであるrCBF画面で行うことによって、超急性期に病巣の進展を評価できる可能性が示唆され、血栓溶解療法の適応の決定などに際して、有力な補助診断になり得るものとであると考えられた。
|