2000 Fiscal Year Annual Research Report
血管平滑筋細胞の形質変換におけるアンジオテンシンIIタイプ2受容体の役割
Project/Area Number |
12770344
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
藤井 幸蔵 山口大学, 医学部, 寄附講座教員 (90322247)
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Keywords | 血管平滑筋細胞 / 形質変換 / アンジオテンシンII受容体 / ミオシン重鎖 |
Research Abstract |
1.モデルシステムの確立 培養血管平滑筋細胞は培養中にその形質が分化型から未分化型へと脱分化するため、形質変換のメカニズム解析は困難であった。しかし、応募者は、血清不含培地にて、細胞外マトリックスの一つであるラミニン存在下で培養することによって、分化型平滑筋のマーカーである平滑筋型ミオシン重鎖の発現を維持した細胞を得た。これらの細胞は形態的にも分化型血管平滑筋細胞に特徴的な形態を保っていた。これにより応募者は分化型形質を維持し、形質変換のメカニズム解析に有用なモデルシステムを確立した。 2.Angiotensin IIが血管平滑筋細胞の形質に及ぼす影響の検討 分化度を維持した培養血管平滑筋細胞をAngiotensin IIで24時間から72時間刺激し、平滑筋型ミオシン重鎖と胎児型ミオシン重鎖の発現量をウエスタンブロット法にて定量することによって、Angiotensin II刺激による平滑筋細胞の形質変換を検討中である。同様に、Angiotensin IIによる刺激をAngiotensin II type 1あるいはtype2受容体拮抗薬存在下で行なうことによって、形質変換に関与する受容体を検討している。さらに、Angiotensin II刺激による細胞内情報伝達系の活性化を検討した結果、extracellular-signal-regulated kinase(ERK)の活性化を認めた。また応募者は、培養血管平滑筋細胞においてAngiotensin II type1受容体の発現をウエスタンブロット法にて確認したが、さらにAngiotensin II type2受容体を培養血管平滑筋細胞に発現させるため、アデノウイルス・ベクターを作成した。
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