Research Abstract |
ガングリオシド(ggl)は細胞膜表面に存在するシアル酸(SA)含有糖スフィンゴ脂質で,神経組織に豊富に存在し,その成長分化によって変化することより,細胞の成熟度判定.腫瘍標識として有用である.神経芽細胞腫(NB)患者ggl分析はLadischらの報告以来散見されるが,その臨床的意義については議論がある.【症例】1.NB群3例.4,6,9歳男児.病期III,IVA,IVA,2.NB寛解群3例,3.健康対照群4例.【方法】血清1mlより,従来報告した方法で抽出し,resorcinol法にて.定量,HPTLC展開後.呈色し,densitometryにて%分布を測定した.【結果】第1-3群それぞれの脂質結合SA量は32.2,16.3,40.6μg/dl.第1群ではGM3,GM2,GD3,GD1a,GD2,GD1b,GQ1bが検出された.3群ともにGM3が主要gglで,70-95%を占め差異はなかった.主要gglの3群間それぞれの平均%分布は,GM2 3.1,3.1.0%,GD34.7,9.4,2.2%,GD2 4.7,1.7.0%.【考察】Ladischの報告と同様に,1群ではGM2とGD2に対照群に比して高値を示した.第2群は1,2歳時にNB摘出術を受け,2-12年間寛解状態にある予後良好な症例群であるにもかかわらず,GM2,GD3,GD2が高い%分布を示し,GD3以外は類似のggl分布を示していた.この理由は不明であるが,従来,報告はなく,症例を追加し検討の必要がある.NB組織ガングリオシド分析では,1歳前発症例に比して年長児発症例ではGM3,GD2,GD1aが主要gglをなし,糖鎖やSAの多い複雑gglが少ない未成熟ggl分布型を示しており,第1群ではGM2とGD2が腫瘍標識として重要であると考えた.
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