2000 Fiscal Year Annual Research Report
ランゲルハンス細胞組織球症の骨病変における破骨細胞の役割の臨床的検討
Project/Area Number |
12770414
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
神薗 淳司 産業医科大学, 医学部, 助手 (50299616)
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Keywords | ランゲルハンス細胞組織球症 / ビスフォスフォネート療法 / NTx |
Research Abstract |
難治性LCHの骨病変に対しては、従来の化学療法・放射性治療・外科的切除を主体とした治療だけではなく、長期的な慢性炎症への治療も考慮すべきであると考えられ、日本小児LCH研究会の協力の下、難治性骨病変を有するLCH患者へのbisphosphonate(OC機能抑制剤)療法のPilot studyを2000年11月より開始した。現在までLCH5症例での検討の結果を以下に示す。(1)患者血清ではIL-6、IL-6R、gp130、TNFR I、TNFR IIが慢性的に高値を示していた。いずれも正常対照より有意に高値であった。(2)CRP上昇、血小板数高値、赤沈亢進、低色素性貧血を長期間呈する症例が存在し、慢性炎症の結果と考えられた。(3)骨病変部位では典型的なLC細胞と酒石酸抵抗性酸フォスファターゼ(TRAP)陽性のOC-like multinucleated giant cellが散見されである、活性化破骨細胞と考えられた。(4)病変部位ではTGFβ,IL-11,COX2産生が亢進していた。(5)in vitroではLCH患者由来の末梢血単核球のOC形成能およびpit formation assayによるOC機能が正常者由来単核球より亢進していた。(6)自験2例のLCH症例で施行したbisphosphonateの長期間間欠的投与で骨病変の改善が認められた。以上の所見からOCはLCH骨病変形成に中心的な役割を担っており、さらに長期間持続する慢性炎症は二次的にLCH病変部位のOCを活性化させていると考えられ、bisphosphonateは有効な治療となりうると推測される。さらに今後検討症例を増やし難治性骨病変を有するLCHの病態解明とbisphosphonateをはじめとした非侵襲的治療法の有効性を研究していく予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 神薗淳司,酒井道生,白幡聡,迫正廣: "Langerhans細胞組織球症におけるIL-6サイトカイン値の検討"日本小児科学会雑誌. 104・2. 184 (2000)
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[Publications] 神薗淳司,松島卓哉,酒井道生,朝山光太郎,白幡聡: "小児ランゲルハンス細胞組織球に対するビスフォスフォネート療法"日本小児血液学会雑誌. 14・4. 185 (2000)