2000 Fiscal Year Annual Research Report
日本人におけるヒト乳頭腫ウイルス5型のvariationの研究
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12770460
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
伊部 美葉 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (80266593)
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Keywords | 疣贅状表皮発育異常症 / ヒト乳頭腫ウイルス5型 / polymerase chain reaction法 / シークエンス |
Research Abstract |
ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)5型の遺伝子配列の差違は,HPV16型に比べてかなり多く,HPVの中でも多種多様性に富んだ型であるといわれている.さらに,HPV5型は転写をコードするE6の塩基配列の相同性によって3つの亜型に分類されており,人種別にみるとヨーロッパ人は5aと5c型が,アフリカ人は5b型が多いが,日本人においてはその塩基配列が同定されている報告が少ない.HPV5のL1における系統樹もE6と同様に作製できる事が報告されており,我々は,ヨーロッパ人やアフリカ人のHPV5型の遺伝子配列を同定した時に用いたプライマーと同様のものを作成し,polymerase chain reaction(PCR)法を行い,それをサブクローニングしたのちシークエンスによってL1領域の塩基配列を知る方法を確立している.疣贅状表皮発育異常症の患者さんの皮疹から検出されたHPV5型のL1領域の塩基配列を同定して,日本国内におけるHPV5型のvariationを調べ,日本人は5型のなかでもどの亜型が多いのか,外国と比較した時の日本の位置づけを研究することを目的として実験を始めた.平成12年度は,疣贅状表皮発育異常症患者の皮疹部の組織や生検時のパラフィン切片からDNAを抽出し,当教室でHPV5型のL1領域の一部の遺伝子配列をもとに作成したプライマーを用いてPCRを施行した.その結果,3例に陽性が認められた.平成13年度は,このPCRで陽性が認められた症例についてpGEMvectorキットを用いてサブクローニングを行ったのち,キットのPCR断片の外側のプライマーを用いてサイクルシークエンスを行い,型の同定および5型内での塩基配列の比較,解析を行う予定である.また,疣贅状表皮発育異常症の症例が集まれば随時PCRをかけて陽性に出たものは同様にシークエンスを行い症例の集積に努める.
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