2000 Fiscal Year Annual Research Report
肝腫瘍に対する高周波を用いた熱凝固療法における凝固範囲の制御に関する研究
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12770502
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
穴井 洋 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (00322371)
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Keywords | 肝癌 / 高周波熱凝固療法 / LeVeen針 |
Research Abstract |
【目的】肝癌に対するワイヤー展開型LeVeen針(以下、LV針)を用いたRadiogrequency Ablation(RF)において、ワイヤー展開程度による凝固範囲の調節について基礎的検討を行ったので報告する。 【対象ならびに方法】RFのジェネレーターはRadiotherapeutics社製RF2000で、電極針には全展開した時の大きさが2cmのLV針を使用した。まずLV針を全展開、半展開、無展開させた状態で、室温下で卵白溶液でRFを行い、適切な出力条件を検討した。その後、LV針を全展開、半展開、無展開させた状態で、室温下で(1)卵白溶液、(2)ウシ死体肝、(3)ブタ生体肝を用いてRFを行い、卵白溶液では蛋白凝固塊の形状と最大径を、ウシ死体肝、ブタ生体肝では凝固範囲の形状と最大径について検討した。 【結果】適切な出力条件の検討では、全展開の場合は30Wから出力を開始し、凝固終了まで1分間に10Wずつ出力を増加させた方法(以下、漸増法)で、半展開の場合は20Wからの漸増法で、それぞれ最大径が23mm、10mmと大きく凝固サイズが得られた。無展開の場合、出力が10Wの時に6mmと大きな凝固塊が得られた。以下、上記の出力条件で実験を行った。 (1)卵白溶液 全展開の場合、直径2.3cmのやや扁平な球体、半展開の場合直径1.1cmのやや扁平な球体の蛋白凝固塊が得られ、無展開では針先の小範囲が凝固された。 (2)ウシ死体肝、(3)ブタ生体肝 (2)(3)ともに凝固範囲は球状を呈し、それぞれ全展開では直径2.4、2.1cm、半展開では直径1.4、1.3cmであり、無展開では針先周囲6、5mmが凝固された。 【結語】今回の検討から、展開型電極針の展開程度に比例した凝固サイズが得られ、その形状はほぼ球形であり、腫瘍サイズや存在部位に応じて展開程度を可変させることの有効性が示唆された。また、無展開は電極針周囲に小さな凝固が得られることから、電極針抜去時の止血に応用することも可能であると考えられた。
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