2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12770511
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
村上 隆介 日本医科大学, 医学部, 講師 (30267215)
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Keywords | 造影剤 / 急性腎不全 / エンドセリン / NO / ANP / 画像診断 |
Research Abstract |
【目的】水溶性ヨード造影剤を用いた造影検査は現在の画像診断の中で必要不可欠なものである。急性腎不全は臨床上重篤な副作用のひとつであるが、その発生機序にかんしては未だ不明である。近年、血管作動性物質の存在が造影剤投与後の腎障害に関わっているという報告が見られている。今回我々は血管造影検査前後においてEndothelin(ET-1)、Nitric Oxide(NO)、Arterial Natriuretic Peptide(ANP)の測定を行ない、その血中動態の変化を検討したので報告する。 【対象・方法】対象は腹部血管造影検査施行患者13名(男性6名、女性7名、年齢43-72歳・平均58歳)。造影剤はIopamidol 300mgI/mlを用いた。方法はセルジンガー法にて大腿動脈・静脈よりアプローチした。造影剤投与直前・投与中・最終造影終了後に腎静脈に留置したカテーテルより採血し、ET-1、NO、ANPを測定した。 【結果】ET-1は造影剤投与中、および投与直後に有意な上昇を認めた。(造影前:1.45±0.12、造影中:2.28±0.17*、造影後:1.95±0.14*)(*P>0.05)。NOは造影後において有意な低下を認めた(34.56±2.33、33.17±3.56、28.28±2.50*)(*P>0.05)。ANPは直後において有意な上昇を認めた(11.43±1.68、14.41±1.22、21.28±2.88*)(*P>0.05)。 【まとめ】近年動物実験レベルにおいて、造影剤投与により血管作動性物質が働くことが示されてきている。その結果、腎血管の収縮が腎に虚血性変化をひきおこし、腎糸球体、尿細管機能を低下させるということが報告されている。今回、血管造影において、ET-1産生・NOの産生抑制およびANPの産生が認められたことより、造影剤投与後の腎障害の発現に血管作動性物質が関与している可能性が推測された。
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