2001 Fiscal Year Annual Research Report
海馬におけるグルタミン酸輸送蛋白と同蛋白機能修飾因子としての酸化還元状態の解析
Project/Area Number |
12770537
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
植田 勇人 宮崎医科大学, 医学部, 講師 (70244192)
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Keywords | グルタメート / フリーラジカル / 活性酸素栓 / ESR / てんかん / 抗てんかん剤 / トランスポーター / Redox |
Research Abstract |
【緒言】てんかん原性獲得における興奮性増強の背景にはN-methyI-D-aspartateに(NMDA)受容体を主体とするグルタミン酸受容体の活性化がその一次的原因として重要視され、NMDA受容体活性化には単に興奮性増強の側面ばかりでなく、フリーラジカル発生を媒介とし細胞毒性を伴うことが特徴である。平成13年度ではin vivo状態下、NMDAをマイクロダイアリーシス法(MD)のプロープを用いて海馬に潅流投与し、潅流液をelectron spin resonance (EPR)のレゾネーターに直接誘導することによって、レドックス状態の変動検証を試み、てんかん性病態におけるグルタミン酸の神経興奮毒性を考察した。【方法】雄性Wistar系ラットにペントバルビタール麻酔を行い腹側海馬MDする目的でMD用のガイドカニューレを脳定位術にて固定した。本研究ではoxidized state(1.ラジカル発生の捕捉)とreduced state(2.抗酸化能力)の両面を検証することで海馬レドックス状態の変化を考察した。1.ラジカル発生の捕捉:2時間の125mM POBN-aCSF溶解液をプロープを通じ左側海馬腹側部に潅流しその後、0.1mM NMDA+125mM POBN-aCSF溶解液を60分間潅流投与、再度l25mM POBN aCSF溶解液潅流に切り替え、POBN spin adduct を追跡した。2.抗酸化能力:ニトロキシドラジカルが脳内の抗酸化能力によって還元され、その磁性が指数関数的減衰を示すことを利用して脳内抗酸化能力を評価した。【結果】1.ラジカル発生:NMDA群60分間のNMDA潅流時よりaN=15.7G, aH=2.5GのPOBN spin adductが生じ、 spin adductはそのhfcより脂肪酸ラジカルと同定された。spin adduct発生は対照群では認められなかった。2.抗酸化能力: NMDA群並びに対照群のcarbamoyl-PROXYL半減期は以下のとおりであった。NMDA群;25.385+/-4.336min,対照群;16.582+/-4.001min。NMDA群で半減期が有意に延長していた。【考察】レドックス状態変化は神経伝達を修飾する重要なシナプス環境であると考える。EAAT_s構造内のシステインはレドックス感受性部位であり、酸化ストレス環境下でその機能であるグルタミン酸再取り込みが低下することが知られている。興奮系シナプス伝達効率の冗進変化と海馬硬化などの細胞障害性変化は、ともにNMDA受容体を支点として並列進行するてんかん性病態の大きな側面である。我々は、平成12年度研究補助によりwestern boltを用いた研究で、てんかん病態において、グルタミン酸輸送蛋白は発現が抑制していることを明らかにした。平成13年度の結果は、NMAD受容体活性化に伴い海馬細胞外環境において酸化ストレスが昂進し、レドックス状態の崩壊が惹起され、その帰結としてのEAAT_s機能障害過程もてんかん性病態において重要視されると考察した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Jun Tokunaru, Yuto Ueda et al.: "In vivo evaluation of hippocaupal anti-oxidant"Nuerochem.Res. 25(8). 1107-1111 (2000)
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[Publications] Yuto Ueda et al.: "Kindly phenomena zudeced by the repeated short-term"Exp.Brain Res. 135(2). 199-203 (2000)
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[Publications] Yuto Ueda, et al.: "Collapse of etenacellular glutamate regulation"J.Neurochem. 76(3). 892-900 (2001)
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[Publications] 植田勇人: "マイクロダイアリーシスを用いた脳内抗酸化能力のオンライン・・・"磁気共鳴と医学. 12. 171-174 (2001)
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[Publications] 林 真人, 植田勇人: "NHDA刺激に伴うPC-12細胞培養系における・・・"磁気共鳴と医学. 12. 61-64 (2001)
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[Publications] Qiug-Hus Jiu, Yuto Ueda: "Carazovascular responses induced by central hyperionic"J Physiol. 281(4). 1224-1231 (2001)