2000 Fiscal Year Annual Research Report
精神障害における他害行為の治療および予防に関する研究-措置入院患者の実態調査-
Project/Area Number |
12770544
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
辻 恵介 獨協医科大学, 医学部, 講師 (00306143)
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Keywords | 精神障害 / 他害行為 / 措置入院 / 精神科救急医療 |
Research Abstract |
平成6年度から8年度の3年間に、県立岡本台病院で措置鑑定(2次鑑定)を受けた精神障害者230名、および警察署など栃木県内の他所で措置鑑定を受け措置一時預かりで県立岡本台病院に入院した精神障害者58名の計288名を対象として、措置鑑定時の状態および平成11年度末の状態の調査を行った。対象患者の大半は後方病院である栃木県内の精神病院に移送されていたため、後方病院から情報の提供を受けたが、不足している情報が多く、現在調査結果を補完中である。 また、これと並行して、昭和50年度から平成10年度までの24年間に栃木県において新規措置入院になった患者の年次変化を検討したところ、新規措置入院患者数は昭和60年前後にいったん減少し、近年再び増加傾向にあることが判明した。精神障害者の申請・通報・届出等の別をみると、以前は一般人の申請が多かったのに対し、昭和60年ころからは警察官通報が著明に増加していた。鑑定実施率および措置入院率も増加しており、昭和59年の「宇都宮病院事件」以降に栃木県で推進された緊急医療体制の整備の結果が反映していると思われた。 新規措置入院患者数の増減は、社会や国、県、受け皿としての病院、およびそれらを連携する医療体制によって大きな影響を受けると推測されるが、近年の新規措置入院患者数の増加には、警察官通報を主とする緊急医療システムの充実が大きくかかわっていると推測された。さらに、近年の新規措置入院患者の中には、措置症状のみならず、緊急に精神科治療を必要とする、いわゆる「精神科救急医療」の対象となるべき事例が包含されている可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)