2000 Fiscal Year Annual Research Report
赤血球分化における血球特異的RINGフィンガー蛋白、HERF1の分子生物学的役割
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12770561
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
原田 浩徳 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助手 (10314775)
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Keywords | 白血病 / 造血幹細胞 / 分子生物学 |
Research Abstract |
本年度は、ヒト赤白血病株HELのcDNAライブラリーをスクリーニングし、ヒトHERF-1の全長を単離した。マウスHERF-1との相同性は81%で、RING Finger、B-box、Coiled-coil(RBCC)とRFP domainより成り、ヒト染色体6p21.3に位置すると推測された。ヒトHERF-1の発現は造血組織に限局し、赤芽球系細胞株のみに発現していた。次に正常骨髄の各系列細胞をFACSで分取したところ、GPA陽性の赤芽球細胞のみに発現を認め、他の系列細胞に発現はみられなかった。CD34陽性の造血幹細胞には発現していないが、メチルセルロース下で培養すると赤芽球系コロニーに発現が認められたが、顆粒球・単球系コロニーには発現はみられなかった。以上のことから、ヒトHERF-1も赤血球分化に重要な役割があると考えられた。 同じ構造を持つMID-1は、RFP domainに変異を来たす事によりOpitz症候群を生じることが知られている。そこで、造血器腫瘍におけるHERF-1のRFP domainの遺伝子変異の有無をPCR-SSCP法にて検索した。これまでのところ変異は認められなかったが、更に症例数、疾患(多血症、赤芽球癆等の赤血球系疾患)を増すとともに、RING domainの変異の有無についても検討していく。マウスHERF-1に関しては、転写開始点をプライマー伸長法にて決定した。プロモーター領域にはAML-1を含めた各種の造血関連転写因子の結合配列が存在していた。HERF-1の転写調節領域を有するレポーターをAML-1またはGATA-1発現ベクターとともにルシフェラーゼ・アッセイを行ったところ、GATA-1に強い転写活性能が認められた。このことから、GATA-1がHERF-1の転写調節因子の一つであることが明らかとなった。現在、他の因子との相互作用について検討している。
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