2000 Fiscal Year Annual Research Report
組織カリクレイン遺伝子多型と本態性高血圧 臓器障害における遺伝子解析意義
Project/Area Number |
12770584
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
平和 伸仁 横浜市立大学, 医学部・附属病院, 助手 (20315766)
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Keywords | 本態性高血圧 / カリクレイン / 遺伝子多型 / 臓器障害 |
Research Abstract |
カリクレインと血圧のかかわりは、当初、高血圧症患者での尿中カリクレイン排泄量低下が報告されたことから始められた。最近では、遺伝子治療としてカリクレイン遺伝子を血管内皮に導入することにより、内皮の肥厚を抑制できるところまで研究が進んだ。これらの結果から、ヒト組織(腎)カリクレインの遺伝子多型および点変異が高血圧の成因あるいは合併症発症に深く関連する可能性があると考えられる。そこで本研究では当院および関連施設にて健康診断を受けた人あるいは外来通院中の高血圧患者を対象にヒト組織(腎)カリクレインの遺伝子の多型および点変異について検討した。遺伝子解析の方法は、ヒト組織(腎)カリクレインの全遺伝子(2508bp)およびその調節領域を8つの部位に分け、各々に対してプライマーを作成しpolymerase chain reactionを用い増幅した。高血圧群(あるいは腎炎・心臓病ほか)および正常コントロール群の遺伝子増幅物の遺伝子点変異を検索するためにMDE gelを用いて遺伝子変化を構造変化と捉えて検索したところ、多くの構造変化が認められた。そこでdirect sequence法により遺伝子の一時構造を解析し、点変異に関して検索した。エクソン1上流では-130周辺領域に多くの変異を確認した。同部位はヒト組織(腎)カリクレインのmRNA発現調節部位と考えられその意義について検討中である。さらにエクソン3にG138A(Arg→His),エクソン4にG1789A(Lys→Glu)の点変異があり、この変異と疾患の表現型との関連について検索中である。今後は、さらなる遺伝子変異の検索と検討症例を増やすことにより、これらの変異の意義について検討をすすめる予定である。なお、腎炎・腎不全症例においてもこれらの変異の意義について検索すべく、genomic DNA libraryを作成中である。
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