2001 Fiscal Year Annual Research Report
圧によるレニン調節において細胞外物理変化が細胞内化学変化へ変換する経路の解明
Project/Area Number |
12770590
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
廣田 展久 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00286478)
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Keywords | 傍糸球体細胞 / 慢性圧負荷 / 糖尿病 / ストレプトゾトシン / プロレニン |
Research Abstract |
[目的]慢性圧上昇は、レニン分泌を抑制するばかりでなく傍糸球体細胞内におけるプロレニンからレニンへの活性化も抑制する。本研究では、血中プロレニン濃度が増加している糖尿病において、傍糸球体細胞によるレニンの産生と分泌が圧によってどのように調節されているかを検討した。[方法]1週間前にストレプトゾトシン(65mg/kg)を腹腔内投与したSDラット(糖尿病モデルラット、血糖300mg/dl以上)腎臓より分離した初代培養傍糸球体細胞を、ヘリウムガスを用いた加圧装置内で12時間培養し活性レニン分泌率(RSR)、不活性レニン分泌率(PRSR)、細胞内活性レニン量(ARC)、細胞内総(活性+不活性)レニン量(TRC)を測定した。[結果]対照ラットの傍糸球体細胞において、大気圧から大気圧+40mmHgへの圧負荷は有意にRSR(61.8±1.3%から43.3±4.4%へ)、PRSR(13.6±1.5%から4.5±1.5%へ)、ARC(61.8±4.9から43.3±4.1ng of angiotensin /h/million cells(=RC units)へ)を減少させたが、TRCを変化させなかった(32.7±3.1RC units)。一方、糖尿病モデルラットの傍糸球体細胞において、対照ラットの傍糸球体細胞と比べ大気圧下でのRSR(42.5±3.5%)とARC(32.7±3.1RC units)は有意に減少しPRSR(28.3±4.0%)は有意に増加していたが、大気圧+40mmHgへの圧負荷は、RSRやPRSRに影響せず、ARCを有意に減少させた(9.6±1.4RC units)。このARCの減少度(78.7±2.1%)は対照ラットの減少度(46.2±5.2%)と比べ有意に大きかった。糖尿病モデルラット傍糸球体細胞のTRCは対照ラット傍糸球体細胞のTRCと比べ有意差なく、圧によっても影響を受けなかった。[考察]糖尿病においては、圧が上昇しても傍糸球体細胞からのレニンやプロレニンの分泌率は低下しないことが示された。一方で、圧の上昇によるプロレニンからレニンへの活性化抑制は増強しており、このことが高血圧を合併した糖尿病における血中プロレニン/レニン比の上昇に関与する可能性が考えられた。
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