2000 Fiscal Year Annual Research Report
Gitelman症候群のTSC遺伝子異常の機能解明と臨床像の相互関係の検討
Project/Area Number |
12770591
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小林 一雄 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00280636)
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Keywords | Gitelman症候群 / 低血圧 / 低カリウム血症 / サイアザイド / 遺伝子 |
Research Abstract |
低血圧、低カリウム性代謝性アルカローシス、および低マグネシウム血症をともなうGitelman症候群は、1996年Liftonらのグループにより、その原因が、腎臓遠位尿細管に存在するthiazide sensitive Na^+-Cl^- cotransporter(TSC)の遺伝的異常であることが明らかにされた。これまでにGitelman症候群においては、40以上のTSC遺伝子異常の報告が行われているが、本邦での遺伝子異常に関してはほとんどが本邦独自の異常であり、TSC遺伝子と日本人特有の遺伝子多型との関連が想定される。我々はサイアザイド利尿薬を用いた尿細管機能検査を行うことにより、Gitelman症候群の診断、および尿細管機能をより詳細に把握し、さらに各症例におけるTSC遺伝子解析を行った。TSC遺伝子解析に関しては既報のThr180Lys,Ala569Glu,Val578Met,2543-2444deletion of TT変異以外に、新たにPhe535Leu,1936deletion of Cの変異を確認し、さらにアフリカツメガエルの卵母細胞を用いたTSC機能解析を行い、Thr180Lys,Phe535Leu,Arg642Cysを持つ変異TSCクローンでは、TSC機能が低下していることを確認した。今後はin vitroでの活性メカニズムと、その変異を持つ症例における臨床像との比較を行い、Gitelman症候群の病像をより鮮明に解明してゆく予定である。さらに、Thr180Lysヘテロ変異、しかも同一塩基の異常、に関しては、これまでに健常人50人中2人に認められた。発見された健常人に関しては、ともに低血圧、血清カリウム正常下限値を示していた。T180K変異が仮に正常健常人の数%に認められるのであれば、このTSC遺伝子変異(多型)は日本人における血圧疾患(低血圧)、電解質異常(低カリウム血症)のsingle nucleotide polymorphism(SNP)である可能性がある。
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