2000 Fiscal Year Annual Research Report
顆粒球エラスターゼによる肺サーファクタントの活性阻害機構の解明とその臨床応用
Project/Area Number |
12770607
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
五十嵐 葉子 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (00301466)
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Keywords | ヒト顆粒球エラスターゼ / 肺サーファクタント / 慢性肺疾患 |
Research Abstract |
ヒト顆粒球エラスターゼが肺サーファクタントに与える影響をサーファクタント脂質、サーファクタント蛋白質の両面から検討して、新生児医療の課題のひとつである慢性肺疾患(CLD)に対する治療法の開発に資するを目的とした。 ブタ摘出肺から回収した気道洗浄液を超遠心にて、粗サーファクタント画分を得た後、不連続ショ糖密度勾配遠心して得られた界面をサーファクタント活性の高いlarge surfactant aggregates(以下LA)として回収した。 リン脂質として1.25mgのLAを2mlのTris bufferに懸濁し、Grossらの原法に準じて、40回/分、37℃で6時間ないし24時間回転させ、その後超遠心を行って上清(サーファクタント活性の低いsmall surfactant aggregates(以下SA)に相当)と沈渣(LAに相当)を分離し、それぞれブライアン・ダイヤー法にて脂質抽出後、ロウザー法にてリンを定量し、LAからSAへの転換を%SA=SA/(SA+LA)にて評価した。 LAは、ヒト顆粒球エラスターゼ濃度に依存して%SAが増加し、80units/ml以上の濃度では6時間のcyclingで8.5%前後、24時間のcyclingでは20%前後でほぼプラトーに達した。またエラスターゼ80及び160units/ml添加で6時間のcyclingに比べ%SAは24時間のcyclingで有意に増加し、24時間のcyclingでは静置に比べ有意に増加した。 LAにヒト顆粒球エラスターゼを80unts/ml(蛋白量として5μg/ml)で添加し、cyclingを6時間施行した検体を用いて表面活性を気泡型表面張力計で測定した。最小表面張力はエラスターゼを添加してcyclingを行った群が最も阻害された。 顆粒球エラスターゼがサーファクタント蛋白質(SP-A、SP-B)の変化については現在検討中である。
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