2001 Fiscal Year Annual Research Report
副腎腫瘍におけるステロイド17α-水酸化酵素発現異常のメカニズム〜核内オーファンレセプターCOUP-TF及びCOUP-TF結合蛋白の関与の検討〜
Project/Area Number |
12770620
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
柴田 洋孝 慶應義塾大学, 保健管理センター, 専任講師 (20245484)
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Keywords | 核内受容体 / COUP-TF / 副腎腫瘍 / CYP17 / Yeast two-hybrid system / corepressor / coactivator / SF-1 |
Research Abstract |
昨年度までの検討により、副腎皮質および副腎皮質腫瘍において、糖質コルチコイドおよび副腎アンドロゲン産生の鍵となるステロイド17α-hydroxylase(CYP17)の発現が、核内オーファン受容体COUP-TFおよびDAX-1により制御されている可能性が強く示唆された。そこで、COUP-TFに着目し、その受容体と特異的に相互作用し、COUP-TFによる転写抑制に関与するcorepressorタンパク質を明らかにすることにより、ホルモン産生異常のメカニズムが明らかになる可能性が期待された。 そこで本年度は、昨年度に作製した副腎皮質腫瘍cDNAライブラリーを用いて、核内受容体COUP-TFIと蛋白-蛋白相互作用を有するクローンのスクリーニングを行った。スクリーニングの結果、COUP-TFI,COUP-TFIIおよびSF-1と有意な相互作用を有するCIP-1(COUP-TFI-interacting protein-1)を同定することに成功した。CIP-1は、open reading frameが1.1kb cDNAであり、約18kDaの分子量を示すタンパク質であった。CIP-1は、COUP-TFIによる転写抑制を有意に増強することがCOS-1細胞におけるtransient transfection asssayにより確認された。また、大変興味深いことに、CIP-1タンパク質はライブラリーを作製したCushing症候群副腎の腫瘍部において、付随正常副腎と比べて有意に高発現を認めたことより、Cushing症候群の腫瘍部におけるホルモン産生異常に関わる可能性が示唆された。 今後、この結果をもとに、CIP-1の機能解析および副腎腫瘍における役割を解明していく予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Hirotaka Shibata: "Expression profiles of COUP-TF, DAX-1, and SF-1 in the human adrenal gland and adrenocortical tumors : Possible implications in steroidogenesis"Molecular Genetics and Metabolism. 74. 206-216 (2001)
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[Publications] Isao Kurihara, Hirotaka Shibata: "Expression and regulation of nuclear receptor coactivators in glucocorticoid action"Molecular and Cellular Endocrinology. 189・1-2. 181-189 (2002)
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[Publications] 柴田 洋孝: "副腎皮質腫瘍における自律的ホルモン産生能"ホルモンと臨床. 49・増刊号. 16-22 (2001)
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[Publications] 栗原 勲, 柴田洋孝: "グルココルチコイド作用における核内受容体コアクチベーターSRC-1の転写調節"ホルモンと臨床. 49・増刊号. 48-51 (2001)
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[Publications] 柴田 洋孝: "内分泌腫瘍における核内受容体の病態生理学的意義"日本臨床. 60・2. 237-244 (2002)
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[Publications] 柴田 洋孝: "副腎皮質腫瘍におけるオーファンレセプターCOUP-TF,DAX-1およびSF-1の役割"Molecular Medicine. 39・3. 320-326 (2002)