2001 Fiscal Year Annual Research Report
TNF結合蛋白遺伝子導入によるラット肝移植モデルにおける虚血再潅流障害抑制効果
Project/Area Number |
12770668
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松井 芳夫 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70306728)
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Keywords | TNFbp / 肝虚血再灌流障害 / 遺伝子導入 / アデノウイルスベクター |
Research Abstract |
【研究目的】肝切除および肝移植において虚血再灌流障害は回避できない重要な問題である。虚血再灌流障害の効果的抑制は、肝切除においてはより低侵襲手術の実現、ひいては拡大手術の安全な遂行へ、肝移植においてはよりviabilityの高いgraftの獲得、さらにはmarginal donorの活用へ向けての解決すべき大きな課題である。肝虚血再灌流障害の本態はTNF、II-1などの肝マクロファージ由来の炎症性サイトカインが過剰発現して惹起される炎症反応であること、さらにこれら炎症性サイトカインの拮抗物質が障害抑制に有効であることは既にを報告されている。今回われわれは、これまでのTNF拮抗物質(TNF binding protein(以下TNFbp)、抗TNF抗体)が障害抑制に有効であるとの報告に基づき、TNFbpのcDNAを作製、ラット肝に遺伝子導入することにより、より効果的な障害抑制効果をえることが目的である。 【研究成果】TNFbpのcDNAのクローニングを次のように施行した。ホルボールエステルで刺激したヒト単球の産生物からmRNAを分離し、RT-PCR法にてhuman TNFbpのcDNAの作製し、プラスミドにサブクローニングする。point mutationがないことを確認するため、現有する自動蛍光シークエンス解析装置377DNA Sequencer(PERKIN-ELMER社)を用いてシークエンスを行う。その後、alkali-SDS法とEtBr-CsCl超遠心法を用いて純度の高いプラスミドDNAを大量に調製する。上記の方法によりTNFbpのcDNAのクローニングに成功しており、293cellでのco-transfection法を用いて、炎症抑制性サイトカイン(TNFbp)cDNAとβ-galactosidase(LacZ)遺伝子を含むrecombinant adenovirusについては、作製途中にある。
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