2001 Fiscal Year Annual Research Report
経口免疫寛容を用いた肝臓移植時の拒絶反応の制御に関する実験的研究
Project/Area Number |
12770675
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
白水 泰昌 久留米大学, 医学部, 助手 (20279186)
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Keywords | 心移植 / 拒絶反応 / サイトカイン / torelance |
Research Abstract |
ドナーに雄性BN、レシピエントに雄性Lewisラットを用いて、アログラフトが移殖された場合のレシピエントのリンパ球のサイトカインを介する免疫反応の変化を検討する目的で、ドナーの皮膚をレシピエントに移殖し、移殖後に無治療群、経門脈的ドナーリンパ球投与群、経静脈的ドナーリンパ球投与群を作成し、移殖術後4,6,8,10日後のレシピエントリンパ球とドナー抗原によるone way MLR法を行った。その結果、各群ともに術後4〜6日にかけて、MLRは増加した。しかし術後8日目と10日目においてレシピエントの血清を添加したMLRの経門脈的投与群は、経静脈的投与群とコントロール群に比し、有意に抑制され,血清添加MLR中の上清では,経静脈的投与群でINFが高値,経門脈的投与群ではIL10,IL4が高値であった.以上の結果から、アロ移植片が拒絶されるためにレシピエントのリンパ球は、術後4〜6日目に活性化されること、経門脈的投与では、レシピエントの血清中にアロ移殖片に対する免疫反応をヘルパーリンパ球のTh2へのシフトが生じることが判明した.そこで,ドナーに雄性BN、レシピエントに雄性Lewisラットを用いて異所性心移植モデルを作成し,治療濃度に満たないFK506を用いて,FK506非投与群,心移植作成後0〜3日のFK506投与群,心移植モデル作成後3〜6日のFK506投与群をそれぞれ作成し,さらにドナーリンパ球非投与,経静脈的投与,経門脈的投与により9群にわけてグラフト生存率を検討した. その結果,FK506を術後3〜6日に投与し,経門脈的ドナーリンパ球を投与した群が,他の8群に比べてグラフト生存率が有意に延長した. 以上の結果を第101回日本外科学会,第37回日本移植学会,2001年度国際免疫学会で発表した.この結果から考察を加え,Journal of Cardiac Surgeryに投稿中である.
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