2000 Fiscal Year Annual Research Report
Barrett食道の実験モデルの確立とその形成過程に関する病態生理学的検討
Project/Area Number |
12770702
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
小村 伸朗 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (70271301)
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Keywords | 逆流性食道炎 / Barrett食道 / 炎症性サイトカイン / ラット / 実験的食道炎 |
Research Abstract |
1.ラットを用いて3種類の実験的慢性逆流性食道炎の作成に成功した。すなわち酸型(胃液のみの逆流),アルカリ型(胆汁・膵液の逆流)ならびに混合型(胃液と胆汁・膵液の逆流)である。いずれの食道炎においても組織学的には食道粘膜上皮の肥厚,基底細胞の増生,乳頭(粘膜固有層)の上皮内侵入,粘膜固有層内のリンパ球,好酸球,形質細胞,マクロファージあるいは好中球などの著明な炎症細胞浸潤,粘膜筋板の途絶,そして筋層内や粘膜下層における膠原線維の増生などといった臨床で経験する慢性食道炎と類似した所見が得られた。また,食道粘膜傷害の程度を粘膜傷害Indexとして算出した結果,逆流液の性状による粘膜傷害は混合型≒酸型>アルカリ型であることが判明した。 2.実験開始8週までの組織学的検討を終えているが,現段階で修復食道粘膜内に円柱上皮の発生は認められなかった。したがって,Barrett粘膜の発生にはさらに長期の観察が必要であると考えられた。 3.食道炎の発生過程において,食道粘膜局所における炎症性サイトカイン濃度(IL-1α,IL-6,Gro-α,TNF-α)をERISA法にて測定した。この結果,コントロール群では食道粘膜内にIL-1αを除く炎症性サイトカインは検出されないこと,食道炎群では炎症性サイトカインとしてGro-αならびにTNF-αが食道粘膜局所に産生されることが判明した。しかし,食道粘膜傷害の程度と炎症性サイトカインの産生量(食道粘膜内濃度)には有意な相関関係は認められなかった。
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