Research Abstract |
実験計画に基づき,有茎虫垂間値群(I群;26匹)と,Roux-Y再建群(II群;8匹)を作成した。I群は12例が1カ月以上生存したが,7例は4カ月以内に虫垂壊死,縫合不全,胆管炎などで死亡した。1〜4カ月生存した7例のうち,3例に移植虫垂が確認できたが,2例は移植虫垂壁に壊死によると思われる穿孔を認め,1例は移植虫垂内腔に膿が充満していた。5例が長期生存(1〜3年)を示した。3例は肉眼的に移植虫垂は確認できず,胆嚢と瘻孔を形成していた。2例に移植虫垂が確認され,造影では,胆嚢との瘻孔形成はなく,吻合部狭窄や,肝内胆管の拡張もなく,十二指腸乳頭からの造影剤の流出も良好であった。病理学的には,有茎虫垂粘膜上皮に萎縮傾向はなく,胆管粘膜との移行も良好であった。胆嚢は,軽度の慢性胆嚢炎を,肝臓は軽度の胆管炎を示したが,胆嚢膿瘍や肝膿瘍像はなかった。また,消化性潰瘍も認められなかった。II群は5例が長期生存(1〜2年)を示し,造影では,胆管空腸吻合部に狭窄は認めなかった。病理学的には,空腸粘膜と胆管上皮の移行は良好であったが,胆管上皮に炎症細胞の浸潤が見られ,さらに肝臓は急性の胆炎を示し,一部に微小肝膿瘍を認めた。なお,消化性潰瘍は認められなかった。血液生化学検査では,I群,II群ともに胆道系酵素の上昇を示したが,有意差は認められなかった。ガストリン値においては,I群,II群で術前と比較すると有意差は認められないが,虫垂間置群でやや低値を示した。十二指腸乳頭括約筋を温存する胆道再建術としての血管柄付虫垂間置術は,代用胆管としての機能を果たすものと考えられ,管腔器官の再建術として新しい可能性を示すものと考えられた。
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