2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12770725
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山内 徳子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30306732)
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Keywords | 肺微小循環 / 人工酸素運搬体 |
Research Abstract |
Sprague-Dawleyラットの左内径動脈、右外径静脈よりカテを挿入した。人工酸素運搬体としてオキシヘモグロビン(OxHb)およびヘモグロビン内包型リポゾーム(Hbv)を用い、OxHb投与群、Hbv投与群、生食投与群(N=6)に分け各々2mlずつ静注し経時的に血圧、右室圧を測定した。次に呼気中の一酸化窒素濃度を試料投与前後で測定した。 血圧はOxHb投与群では投与前に比べ投与直後より上昇し始め、5分後には前値の1.47±0.63倍、60分後でも1.22±0.45倍と血圧の上昇を認めた。Hbv投与群では5分後1.24±0.45倍と昇圧傾向を示したものの60分後1.00±0.27倍と次第に前値に復した。生食投与群では投与直後1.07±0.21倍、5分後1.04±0.6倍、60分後0.92±0.15倍となり有意な変化を認めなかった。一方右室圧はOxHb投与群では投与直後より上昇し始め、15分後には前値の1.59±1.2倍、60分後でも1.31±0.47倍と血圧の上昇を認めた。Hbv投与群では5分後1.23±0.56倍と昇圧傾向を示したものの60分後1.03±0.23倍と次第に前値に復した。生食投与群では投与直後1.09±0.16倍、5分後1.00±0.2倍、60分後1.04±0.11倍となり有意な変化を認めなかった。呼気中の一酸化窒素濃度の測定は現在実験中であり、OxHb投与前後の値を測定した。投与前後で有意な変化を認めなかった。 生体下で人工酸素運搬体を投与したところ、肺微小循環は人工酸素運搬体の種類によって異なった反応性を示し、セル型人工酸素運搬体であるヘモグロビン内包型リポゾームでは肺微小循環に明らかな変化を与えず、分子状の酸素運搬体では肺動脈の収縮を起こしたことは、生理活性物質である内因性一酸化窒素と相互に関連していると考えられた。
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