2000 Fiscal Year Annual Research Report
免疫寛容導入による凍結保存Allo血管移植後の成長及び遠隔期拒絶反応
Project/Area Number |
12770733
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
岩田 祐輔 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (30266770)
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Keywords | 凍結保存血管 / 免疫寛容 / Allograft / Rat |
Research Abstract |
凍結保存Allo血管移植においては、いまだ遠隔期に石灰化瘤化等の問題を残しており,これらの反応は凍結保存及び解凍と慢性期拒絶反応に起因するものと考えられている.今回,ドナー骨髄細胞により特異的免疫寛容を誘導し凍結保存Allo血管移植における影響を検討した.ドナーとしてBrown Norway(以下BN)ラットの胸部大動脈を採取し,レシピエントとしてLewls(以下LEW)ラットの腎動脈下腹部大動脈に端々吻合にて移植し,6週間後に移植大動脈を採取し検討した.Fresh(F)群(n=5):新鮮Allo血管移植群.Cryo(C)群(n=6):凍結保存Allo血管移植群.Inoculation(I)群(n=5):BNラットの骨髄細胞をLEWラットの胸腺内に大量注入し、同時に抗リンパ球血清を腹腔内投与し、免疫寛容を誘導した1週間後に凍結保存Allo血管を移植した群について以下の検討を行った.形態計測学的検討ではC群が有意に狭窄していた.中膜面積の比率が各群間に有意差がなく,内膜と中膜の面積比においてC群が有意に大きいことより狭窄の原因は内膜の増殖肥厚によるもので,I群ではその抑制効果が認められた.病理組織学的検討では中膜においてC群が有意に拒絶反応が強く,I群では拒絶反応の抑制効果が認められた.また外膜においては拒絶反応がF群で強い傾向を認めた.走査電子顕微鏡像にて凍結保存血管は解凍直後には内皮細胞の剥離を認め,これが内膜の増殖肥厚の一因と考えられ,また外膜では細胞脱水を来しており.より早期に中膜に拒絶反応が進むと考えられた.免疫染色ではLEWラットの胸腺内にドナー抗原陽性細胞を認めマイクロキメリズムが成立していた.凍結保存Allo血管移植において免疫寛容の導入が慢性期拒絶反応抑制に有効であり,凍結保存及び解凍技術の改善により保存状態の良好なグラフトに免疫寛容を導入することがより効果的と考えられた.
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Research Products
(1 results)