2000 Fiscal Year Annual Research Report
遅発性神経細胞死とBc1-2family蛋白の早期細胞内移動
Project/Area Number |
12770741
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
菅原 卓 秋田大学, 医学部, 助手 (80241660)
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Keywords | 全脳虚血 / 神経細胞 / 海馬 / 錐体細胞層 / 遅発性神経細胞死 / DNA断片化 / 神経発生 |
Research Abstract |
ラット全脳虚血モデルの確立 2-vessel occlusion model(Smith's model)は齧歯類に対して一般的に行われている全脳虚血モデルである。このモデルでは病巣はしばしば一側海馬CA1領域のみにできるのにかかわらず、恒常的に両側に病巣を作るための技術的検討はこれまで十分になされていなかった。われわれは平均血圧を様々な程度に設定して両側総頚動脈を10分間遮断し、海馬の病変を検討した。その結果、平均血圧31-35mmHgの範囲が、mortalityが低く、かつ再現性よく両側に病変ができる至適血圧であった。 全脳虚血後の遅発性神経細胞死、DNA fragmentation、neurogenesis 次に上記条件での全脳虚血後の海馬CA1錐体細胞層の神経細胞の経時的生存率を虚血後1,3,5,14,28日後にNeuN免疫染色を行って検討した。NeuN陽性細胞数は虚血後3日で約10%に減少していたが、虚血後28日においても約10%の陽性細胞が観察された。この虚血後28日に存在する神経細胞が長期生存しているものかどうかを評価するため、DNA fragmentationとneurogenesisについてそれぞれTUNEL染色、BrdU投与後免疫染色を行った。NeuNが陰性化した神経細胞は殆どが同時期(虚血3日後)にTUNEL陽性となったが、7-28日にTUNEL陽性細胞はみられなかった。BrdU陽性細胞は歯状回に多数みられたが、CA1錐体細胞層内には全観察期間を通じてみられなかった。これらの結果より、虚血後3日以降は神経細胞死とnerurogenesisは起こっていないと考えられた。したがって、海馬CA1錐体細胞層の神経細胞は約90%が全脳虚血3日後までにDNA fragmentationを起こして死滅するが、残り約10%は長期生存することが確かめられた。
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Research Products
(1 results)