2000 Fiscal Year Annual Research Report
サル局所脳虚血モデルにおける急性期脳虚血病態の解析
Project/Area Number |
12770774
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
横田 千晶 国立循環器病センター研究所, 病因部, 室員 (80300979)
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Keywords | 局所脳虚血モデル / cyclooxygenase-2 / 霊長類 / PET / 脳血流量 / 脳糖代謝率 |
Research Abstract |
1.サル血栓塞栓性脳梗塞モデル(G.Kito,et al,2001)を用いて、脳虚血急性期の病態解析を高分解能positron emission tomography(PET)にて解析した(Y.Kuge,et al,2001)。 左内頸動脈より自家血餅注入直後より、左側頭葉、左頭頂葉、左基底核の血流低下がみられた。血餅注入1時間後、左側頭葉、左基底核の脳血流量は、反体側に比し40%以上低下し、血餅注入24時間後も同部位の脳血流量、脳糖代謝率はともに低下していた。TTC染色により、同部位では明らかな組織障害がみられた。一方左頭頂葉では、血餅注入1時間後の脳血流低下は、反体側に比し40%未満であり、時間経過とともに、脳血流量低下は徐々に改善した。血餅注入24時間後の左頭頂葉での脳糖代謝率は、反体側とほぼ同様であった。左頭頂葉では明らかな組織障害はみられなかった。以上より、本モデルでは血餅注入側の基底核、側頭葉が虚血中心部、血餅注入側頭頂葉は梗塞巣周囲のペナンブラ領域と考えられた。 2.サル血栓塞栓性脳梗塞モデル(上記)の24時間虚血(3匹)および、非虚血(3匹)サルにおける脳組織でのcyclooxygenase-2(COX-2)発現を分子生物学的手法にて分析した。 1)脳の摘出:24時間虚血サル(n=3)のPET検査終了後および非虚血サル(n=3)を麻酔下にて冷却食塩水により潅流し、直ちに脳を摘出、両側側頭葉、基底核、頭頂葉を切り出し凍結保存した。1匹の非虚血サルより得られた後頭葉皮質のサンプルをコントロールサンプルとして凍結保存した。 2)RNA blot analysis:各動物におけるCOX-2mRNAの発現は、コントロールサンプルに対する発現比として求めた。非虚血サルの側頭葉、基底核、頭頂葉のCOX-2mRNAの発現比は、各々0.66±0.19、0.43±0.37、0.55±0.14(平均±SD)であり、COX-2mRNA発現の上方制御はみられなかった。24時間虚血サルの虚血側側頭葉でのCOX-2mRNA,GAPDHはともに、全ての動物において低下していたが、非虚血側側頭葉でのCOX-2mRNAの発現比は0.64±0.28であった。虚血側基底核のCOX-2mRNAも3匹中1匹でCOX-2mRNA,GAPDHはともに低下しており、残る2匹のCOX-2mRNA発現比は2.98±1.28、非虚血側(3匹)では0.39±0.14であった。一方、虚血側頭頂葉のCOX-2mRNAの発現比は4.45±1.67、非虚血側では0.91±0.08であった。虚血側頭頂葉におけるCOX-2mRNAの発現は、非虚血サルの頭頂葉および、24時間虚血サルの非虚血側頭頂葉に比して有意に増加していた。 3)Immunoblot analysis:非虚血サルにおいてもCOX-2蛋白は発現しており、非虚血サルに対する24時間虚血サルの側頭葉、基底核、頭頂葉でのCOX-2蛋白の発現は、いずれも有意差はなかった。 4)Immunohistochemistry:非虚血サルに比して24時間虚血サルでは、COX-2蛋白に対して強い免疫染色性を有する神経細胞が島状に分布していた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] G.Kito: "Experimental thromboembolic stroke in cynomolgus monkey."J Neurosci Meth. 105. 45-53 (2001)
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[Publications] Y.Kuge: "Serial changes in cerebral blood flow and flow-metabolism uncoupling in primates with acute thromboembolic stroke."J Cereb Blood Flow Metab. (in press).