2000 Fiscal Year Annual Research Report
頚椎黄色靭帯におけるBMPシグナル伝達分子Smadの遺伝子発現
Project/Area Number |
12770797
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
鳥羽 有 岩手医科大学, 医学部, 助手 (90316373)
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Keywords | 頚椎黄色靭帯 / BMP / Smad / 頚椎後縦靭帯骨化症 |
Research Abstract |
脊柱靭帯骨化の発生機序にBMPの細胞内シグナル伝達分子であるSmad,特に共有型SmadであるSmad4と抑制型SmadであるSmad6が関与しているかどうかを調べるため,今年度は頚椎症性脊髄症(cervical spondylotic myelopathy,以下CSM)患者と頚椎後縦靭帯骨化症(cervical ossification of the posterior longitudinal ligament,以下OPLL)患者の手術時に採取した黄色靭帯細胞におけるSmad4とSmad6の比(以下Samd4/6比)をCSM群とOPLL群の間で比較検討した.対象はCSM7例,OPLL12例であり,平均年齢はCSM群が56.7歳,OPLL群が62.0歳であった.方法は手術時に患者より採取した黄色靭帯を-80℃で保存しておき,組織破砕用装置を用いて保存していた黄色靭帯を破砕後,AGPC法にてTotal RNAを抽出.逆転写酵素、ランダムプライマーを用いてcDNAを合成し,Smad4,6に対するプライマーとTaqMan蛍光プローブを作製し、リアルモニタリングPCRシステムを用いてSmad4とSmad6のmRNAを半定量化した.その後,Samd4/6比を算出しCSM群とOPLL群の間で比較検討した.結果はCSM群ではSmad4が優位なものが3例,Smad6が優位なものが4例であったのに対し,OPLL群ではSmad4優位なものが7例,Smad6が優位なものが5例であった.Samd4/6比はCSM群とOPLL群の間に有意差は認められなかった.今年度の実験ではCSM,OPLL両者間に有意差は認められなかったが,来年度は症例数をさらに増やした上で,OPLL群における連続型,分節型,混合型,限局型の分類や,黄色靭帯骨化症,強直性脊椎骨増殖症,全身性特発性骨増殖症といった他の靭帯骨化の合併の有無などを考慮し,今年度と同様の方法で比較検討していく予定である.
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