2000 Fiscal Year Annual Research Report
骨肉腫におけるメソトレキセート耐性機構の分子生物学的解析
Project/Area Number |
12770799
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
南雲 剛史 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40237566)
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Keywords | 骨肉腫 / メソトレキセート / 薬剤耐性 / 葉酸代謝酵素 / 分子生物学 |
Research Abstract |
1、骨肉腫細胞株のメソトレキセート(MTX)耐性機構:Rb遺伝子の変異が知られているSaOS-2は、野生型のRbをもつHT1080や当科で樹立したKOS-3と比較して、MTXの標的酵素dihydrofolate reductase(DHFR)のmRNA発現量が多く(northern blotting)、in vitro感受性試験で4-10倍MTXに耐性を示すことが明らかとなった。DHFRを高発現する細胞株はMTXに自然耐性を示すことが示唆された。RT-PCRでmethylthioadenosine phosphorylase(MTAP)の発現を認めなかったHOSはMTXに対して10倍の感受性を示し、MTAP欠損の骨肉腫細胞株はMTXの作用が増強されていた。 2、臨床材料におけるMTX耐性機構:原発巣の生検材料で臨床および感受性試験上、MTX耐性を示した7例と感受性のあった11例で、DHFR mRNAの発現量に差はなかった。転移巣8例は全例MTX耐性を獲得しており、このうち6例では原発巣に比してDHFRの発現が増強していた。DHFRの発現増強が骨肉腫におけるMTXの耐性獲得機構として重要であり、自然耐性にはその他の因子の関与が示唆された。 3、DHFR遺伝子増幅の解析:Southern blottingでは、用いた全ての細胞株、臨床材料においてDHFR遺伝子増幅を認めなかった。 4、cDNA microarrayによるMTX耐性に関与する分子の検索:生検材料のMTX耐性例と感受性例それぞれ3例を用いて、Atlas^<TM>cDNA Expression Arrayで遺伝子発現プロフィールを比較した。全体としてプロフィールは近似していたが、いくつかの遺伝子で発現の差を認めた。しかし差を認めた遺伝子群に一定の傾向はなかった。今後は樹立したMTX耐性株と親株で比較する予定である。
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