2000 Fiscal Year Annual Research Report
拡散および灌流強調画像を用いた-過性不完全脳虚血の研究
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12770810
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
石川 晴士 東京医科歯科大学, 医学部・附属病院, 助手 (60282737)
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Keywords | 脳虚血 / 拡散強調画像 / 灌流強調画像 / ADCマップ / MRI / ラット |
Research Abstract |
1.背景・目的 不完全脳虚血モデルは、麻酔中の脳虚血の病態整理を研究する上で有用であると考えられている。われわれはラット不完全脳虚血モデルを作成し、ADCマップを用いて虚血病変のイメージ化を試みた。ADC値の低下は、脳のcytotoxic edemaの超急性期の指標として知られている。われわれはさらに、脱血の程度と病変の広がりの関係についての検討を行なった。 2.方法 オスSDラットを対象に、1.5%イソフルラン麻酔下に右総頚動脈を結紮し、4.7T実験用MRI装置内に固定した。虚血前の拡散強調画像(TR/TE=2000/64ms,b=0,1100s/mm^2)を撮像後、脱血の目標血圧ごとに3群(35,42,50mmHg群、各6匹)に分けた。目標の血圧を30分間維持した後に、約10分間かけて返血した。撮像は目標血圧まで脱血した時点から10分後、返血終了0,30分後に行なった。拡散強調画像からADCマップを作成し、視交叉を含む冠状断面(slice A)とその4mm尾側(slice B)において、ベースラインの平均のADC値の70%以下の領域を病変域と定義し、半球面積に対する病変域の割合を比較した。 3.結果 ベースラインのADCマップでは、全てのラットで病変を認めなかった。虚血中のADCマップでは、35mmHg群の全てのラッタトで右中大脳動脈の支配領域にほぼ一致したADC値の低下を認め、病変域(slice A:56.3±25.1%,B:51.5±8.1%)は、42mmHg群(A:14.8±17.2%,B:23.0±19.8%)、50mmHg群(A:6.6±14.2%,B:7.9±11.0%)よりも有意に大きかった(P<0.01)。一方、虚血中の左大脳半球で、ベースラインと比較して病変域の有意な増大を認めたのは35mmHg群(A:8.5±7.1%,B:6.2±3.6%,P<0.05)のみだった。返血後は、各群とも病変域が減少した。 4.結論 脱血が進行するにつれて病変域が増加する様子を、ADCマップによって捉えることができた。
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