2000 Fiscal Year Annual Research Report
イオンチャネルと細胞内情報伝達系に及ぼす全身麻酔薬の影響
Project/Area Number |
12770812
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
畠山 登 富山医科薬科大学, 附属病院, 助手 (70251907)
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Keywords | 全身麻酔薬 / 吸入麻酔薬 / 静脈麻酔薬 / 学離心筋細胞 / カルシウムチャネル / カリウムチャネル |
Research Abstract |
全身麻酔薬が細胞内情報伝達経路に及ぼす影響を検討するために、モルモット単離心室筋、およびカエル単離心房筋を用いて以下のプロトコールにより研究を行った。1.アデノシン三リン酸感受性カリウムチャネルに及ぼすイソフルラン・セボフルランの影響。2.電位依存性L型カルシウムチャネルに及ぼすケタミンの影響。その結果1.においてイソフルラン・セボフルランはアデノシン三リン酸感受性カリウムチャネルを活性化させることが明らかとなった。さらに、inside-outパッチクランプによる実験においてはチャネルのrun-down現象が認められたことから、このチャネルの活性化には細胞質の物質の関与が必須であると考えられた。また一方では、各種阻害薬を用いた検討によりその活性化の経路としてプロテインキナーゼA、プロテインキナーゼC、チロシンキナーゼなど細胞内情報伝達経路の関与を示唆する所見が得られた。2.において、電位依存性L型カルシウムチャネルはケタミンの適用下ではいわゆるuse-dependent blockを認めなかった。この結果より、ケタミンによるチャネル抑制作用は主としてケタミンがチャネルに直接作用しているものと考えられ、細胞内情報伝達経路の関与の度合は低いものと考えられた。しかしながら、ケタミンの存在下においては静止膜電位の変化が観察され、各種カリウム電流、イオン交換機構などのポンプなど細胞内情報伝達系が関係する機序の関与が示唆された。
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