2001 Fiscal Year Annual Research Report
イオンチャネルと細胞内情報伝達系に及ぼす全身麻酔薬の影響
Project/Area Number |
12770812
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
畠山 登 富山医科薬科大学, 附属病院, 講師 (70251907)
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Keywords | 全身麻酔薬 / クロライドチャネル / HERGチャネル / 活動電位 / 不整脈 |
Research Abstract |
本研究において、モルモット単離心筋を用いてイソプロテレノール依存性クロライドチャネルおよびHERG(Human-Ether-a-Go-Go)カリウムチャネルに及ぼす全身麻酔薬(セボフルラン・イソフルラン・ハロセン)の影響について電気生理学的に検討した。イソフルランは高濃度(4%)においてイソプロテレノール依存性クロライドチャネル電流を抑制した。この抑制経路については、細胞内情報伝達系によらないチャネルへの直接作用が示唆された。この機序は組織における虚血再灌流障害発生時に細胞の興奮性を低下させ、組織保護的に働くのではないかと示唆された。一方、HERGカリウムチャネルについてはイソフルラン・セボフルランにより抑制が認められた。HERGチャネルは心筋細胞の興奮後、再分極の過程において役割を果たすと考えられ、このチャネルの抑制により活動電位持続時間の延長、再分極過程遅延の可能性が考えられ、Q-T時間延長に起因する不整脈発生の可能性が示唆された。低濃度のセボフルラン適用下では電位依存性カルシウム電流の抑制に比較してHERG電流の抑制が大きくなるため、活動電位持続時間の延長が観察された。しかし、高濃度においては電位依存性カルシウム電流の抑制が大きくなるため、活動電位持続時間は短縮した。さらにモルモットにて心電図を観察したところ、セボフルラン適用下にてQ-T時間の延長が観察された。ハロセンにおいても同様の傾向が認められた。
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