2000 Fiscal Year Annual Research Report
微小循環系血管K^+チャネルに対する麻酔薬の作用機序解明
Project/Area Number |
12770813
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
永川 保 富山医科薬科大学, 附属病院, 助手 (90237503)
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Keywords | 血管平滑筋 / 静止膜電位 / プロポフォール / K^+チャネル |
Research Abstract |
本研究は、抵抗および容量血管である腸間膜動・静脈を用い、静脈麻酔薬(プロポフォール)がいかなる機序で微小循環系の血管平滑筋を弛緩させるのか、またK^+チャネル(Ca^<2+>活性化依存性K^+チャネル、電位依存性K^+チャネル、内向き整流K^+チャネル、ATP感受性K^+チャネル)にはどのように作用するのかを、種々のK^+チャネル阻害薬(イベリオトキシン、4-アミノピリジン、塩化バリウム、グリベンクラミド)を併用し、静止膜電位を測定することにより明らかにする。ペントバルビタール基礎麻酔下に、SDラットの大腿動・静脈にカニュレーションした(動脈圧測定および静脈路確保)。開腹後、実体顕微鏡下に腸間膜動・静脈を剥離した。実験チャンバー上に剥離した腸間膜動・静脈を固定し、PSS(physiological salt solution)を血管外から灌流した。 ガラス管微小電極を動・静脈壁に刺入し、微小電極増幅器を用いて膜電位を測定、記録した。プロポフォールを大腿静脈内へ持続注入し、K^+チャネル阻害薬であるイベリオトキシン、4-アミノピリジン、塩化バリウム、グリベンクラミドを血管外から適用し、その後膜電位を測定した。いずれのK^+チャネル阻害薬も膜電位を有意に脱分極させた。プロポフォールは膜電位を有意に過分極させた。イベリオトキシンとグリベンクラミドは、このプロポフォールによる過分極を有意に抑制したが、4-アミノピリジンと塩化バリウムは抑制しなかった。これらの結果から、プロポフォールによる血管平滑筋の過分極はCa^<2+>活性化依存性K^+チャネルおよびATP感受性K^+チャネルの開口を介して生じ、電位依存性K^+チャネルおよび内向き整流K^+チャネルは関与しないことが示唆された。
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