2000 Fiscal Year Annual Research Report
高圧負荷後の脳血管の内皮依存性弛緩反応に及ばす影響に関する研究-活性酸素の関与と麻酔薬による修飾作用-
Project/Area Number |
12770821
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
飯田 靖彦 山口大学, 医学部・附属病院, 助手 (90304485)
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Keywords | 脳血管 / 内皮依存性弛緩反応 / NO / 高血圧 / 活性酸素 / 麻酔薬 |
Research Abstract |
イヌの摘出脳血管を用い、圧負荷群と対照群(圧非負荷群)とに分け、内皮依存性弛緩反応に差があるかを検討した。圧負荷は摘出血管(12〜15mm程度)の片側を結紮し、もう一方からクレブス液(酸素94%+二酸化炭素6%で通気、37℃)を満たした加圧装置を接続して行った。これらの前処置後、輪状血管(約3mm)を作成し、圧トランスデューサに接続後、クレブス液を満たしたマグヌス装置中で等尺性張力変化を測定した。 イヌの脳血管とほぼ同径の家兎の大腿動脈を用い、圧負荷の程度(80、160mmHg)と時間(30、60分)の影響を検討する予備実験で、予定していた最低の負荷圧と時間(80mmHg、30分間)でKCl(30mM)による収縮反応が抑制された。圧負荷で血管平滑筋障害が起こっている可能性が考えられ、イヌの脳血管では圧負荷を50mmHg、20分間と設定した。この設定ではKClによる収縮反応は対照群(圧非負荷群)と同程度だった。 KCl(30mM)で脳血管を収縮させ、インドメタシン(10^<-5>M)で前処置後、ブラジキニン(10^<-10>〜10^<-6>M)による弛緩反応を検討した。圧負荷群では対照群と比較して、ブラジキニンによる弛緩反応は抑制された。イヌの脳血管では、ブラジキニンはインドメタシン存在下でNO(nitric oxide)を介した内皮依存性弛緩反応を起こすことがわかっている。以上のことより、圧負荷により脳血管のNOを介した内皮依存性弛緩反応が抑制されることがわかった。 今後、この反応に活性酸素が関与しているかどうかをSOD (superoxide dismutase)を用いて各群間で上記薬剤による弛緩反応の違いを検討することにより調べる。さらに抗酸化作用、フリーラジカル除去作用を有するバルビツレートやプロポフォールを用いて弛緩反応の違いを検討する予定である。
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