2001 Fiscal Year Annual Research Report
喘息重積発作に対する新しい治療法(ペンタゾシン)の有用性ならびにメカニズムの検討
Project/Area Number |
12770835
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
富樫 秀彰 自治医科大学, 医学部, 助手 (80301456)
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Keywords | ペンタゾシン / 気道平滑筋 / 気道抵抗 |
Research Abstract |
喘息重積発作の対するペンタゾシンの有効性を検証するために以下の実験をおこなった。 1.ウサギ気道収縮に対するペンタゾシンの作用 【方法】挿管・人工呼吸下のウサギに対し気道平滑筋収縮薬(メタコリン、ヒスタミン)をネブライザー下に吸入させ、気道抵抗の上昇を確認した後ペンタゾシンを累積的に投与し気道抵抗ならびに循環動態の推移を観察した。 【結果】ペンタゾシンは低濃度では気道抵抗をほとんど低下させることはなかったが、高濃度では約30%の気道抵抗を低下させた。しかし、同時に高濃度ペンタゾシンは循環虚脱をもたらした。 2.ヒト気道平滑筋に対するペンタゾシンの作用 【方法】気道平滑筋収縮薬であるメタコリンにて前収縮させた新鮮ヒト摘出気管支標本に対してペンタゾシンを投与したときの平滑筋張力の変化を観察した。 【結果】収縮ヒト気道平滑筋に対し、ペンタゾシンは濃度依存性に弛緩作用を持つことが観察されたが、強い弛緩には高濃度が必要であった。 以上よりモルモット気道平滑筋と同様にヒト気道平滑筋に対してもペンタゾシンは弛緩作用を持つことが観察されたが、高濃度を必要とした。高濃度ではウサギを使ったin vivoの実験においては循環虚脱が観察されたことよりヒト喘息重積発作に対してペンタゾシンは有効でないと考えられた。しかしペンタゾシンはヒト気道平滑筋に対しても弛緩作用を持つことは明らかであり、弛緩のメカニズムを解明することにより循環虚脱等のマイナスの作用を持たないペンタゾシン誘導体のようなものが考えられる。ゆえに今回の結果を基に、今後は分子生物学テクニックを用い、ペンタゾシンの平滑筋弛緩作用のメカニズムについて研究を続ける予定である。
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