2000 Fiscal Year Annual Research Report
マウス精子形成において半数体精子細胞特異的に発現する新規遺伝子の機能解明
Project/Area Number |
12770866
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤井 孝之 大阪大学, 微生物病研究科, 助手 (70314416)
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Keywords | 重差分化法 / マウス精子形成 / 生殖細胞 / ロイシンジッパー / in situ hybridization / 免疫染色 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
申請者らは新規に開発した重差分化法を用いて、成体マウス(35日齢)の精巣由来のcDNAライブラリーを子供マウス(半数体精子細胞出現前の生後17日齢)の精巣由来のmRNAによって差分化して得られた精巣特異的なmRNA(cDNA)遺伝子群をTISP(transcript increased in spermiogenesis)と総称、これまでに83種類ものTISP遺伝子を単離した。そのうちの一つであるTISP40遺伝子のコードする蛋白質は、Leucine Zipper motifとNLS(Nuclear Localization Signal)を持っていることを見い出した。 そこでTISP40遺伝子の機能を解明するために、まずTISP40遺伝子の発現様式をノーザン解析により確認した。その結果マウスの種々の組織中精巣のみでかつgerm cellに特異的に、またマウスが生まれてから23日齢以降の時期に発現が認められた。さらに精巣切片を用いてin situ hybridizationを行い、TISP40mRNAが強く発現しているgerm cellsのdevelopmental stageを決定した。その結果、ノーザン解析の結果と同調してround sprematidの時期に発現が強く認められることを見いだした。 次にTISP40蛋白のペプチド抗体を作成し、その抗体を用いてTISP40蛋白の発現様式を明らかにした。TISP40蛋白は精巣でのみ、また面白いことにTISP40遺伝子の転写パターンとは異なり、蛋白翻訳は約1週間遅く約28日齢(elongated spermatid)の時期以降に発現することがウェスタン解析により認められた。さらに精巣切片を用いて免疫染色を行い精細胞内での局在について明らかにした。その結果、ウェスタン解析に同調してelongated spermatidからspermが染色された。さらにspermについて免疫染色を行ったところ、sperm頭部が染色された。このことからこの蛋白は、精子形成そのものよりも精子と卵子の結合やその後の卵成熟に関わる可能性が示唆された。そこで現在受精卵についても免疫染色を行なっている。 やはりTISP40遺伝子のノックアウトマウスを作製によりその機能の詳細について明らかにしたい。TISP40近傍のgenomeをマウスBACゲノムライブラリーを用いて採得した。現在得られたgenome上でTISP40遺伝子をdisruptし、ノックアウトマウス作製のためのコンストラクトを作成中である。
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