2000 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト子宮頚管熟化に関わるヒアルロン酸合成酵素の遺伝子発現および分子量変化の意義
Project/Area Number |
12770894
|
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
小川 正樹 秋田大学, 医学部, 助手 (50312707)
|
Keywords | 子宮頚管熟化 / ヒアルロン酸 / ヒアルロン酸合成酵素 / IL-1β / IL-8 |
Research Abstract |
産婦人科良性疾患の適応により子宮全摘出術を施行された非妊娠婦人(n=2)および分娩時の妊婦(n=2)より同意を得た後に、子宮頚部組織の一部を採取し、組織total RNAをAGPC法により抽出した。ヒアルロン酸合成酵素遺伝子(HAS)に特異的なPCR primer(既報)とprobe(既報)を用いて、ABI PRISM7700 Sequence Detector(Perkin-Elmer)により、Quantitative Real Time RT-PCRを行ない、各検体中のHAS1、HAS2、HAS3の発現量を測定した。その結果、(1)HAS1、HAS2、HAS3の子宮頚部における発現が認められた。(2)HAS2、HAS3の発現は、HAS1の発現に比較して、子宮頚部において増強していることが認められた。(3)HAS2の発現は、分娩直後の子宮頚部において、著明に低下することが認められた。以上より、子宮頚部におけるHASの発現は、分娩時と非妊娠時において異なることから、HASが子宮頚部熟化に関与することが推定された。 次に、産婦人科良性疾患の適応により子宮全摘出術を施行された非妊娠婦人より同意を得た後に、子宮頚部組織の一部を採取し、線維芽細胞を培養し、得られた培養細胞を用いて、HAS発現の変化を検討した。妊娠後期の子宮頚部熟化時に子宮頚部組織に誘導されるサイトカインおよびエストロゲン、プロゲステロンを培養液中に添加し、熟化した子宮頚管の状態を再現した。その結果、IL-1β添加によりHAS2、HAS3発現が、濃度依存性および時間依存性に増強した。IL-8、エストロゲン、プロゲステロン添加では、発現の変化は認められなかった。また、HAS1の発現は認められなかった。以上より、子宮頚部熟化時のHA代謝に関与するのはHAS2、HAS3であり、IL-1βがその作用を増強させるケモカインであることが推定された。
|
-
[Publications] 細谷直子,小川正樹,小原幹隆,田中俊誠: "培養ヒト子宮頚部線維芽細胞におけるヒアルロン酸合成酵素遺伝子の発現と子宮頚部熟化に関する検討"日本産科婦人科学会雑誌. Vol.52 No.2. 288 (2000)