2001 Fiscal Year Annual Research Report
胚着床現象におけるFGF-10の遺伝子発現とその役割
Project/Area Number |
12770914
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
谷口 文紀 鳥取大学, 医学部・附属病院, 助手 (40322218)
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Keywords | FGF-10 / KGF / 子宮内膜癌 / 子宮内膜細胞 / MAPキナーゼ |
Research Abstract |
線維芽細胞増殖因子(FGF)は、血管新生、創傷治癒などの領域において多機能な作用を有する生理活性物質である.Keratinocyte growth factor(KGF ; FGF-7)とFGF-10は間質細胞から産生され上皮細胞に作用する細胞増殖因子として注目されている,これまでに,子宮内膜間質細胞とトロホブラストから産生されるKGFが、トロホブラストにおけるKGF受容.体を介してオートクリン・パラクリン機構によりhCG分泌を促進し、妊娠維持に働く可能性があることを報告した,本研究では,子宮内膜細胞および子宮内膜癌細胞におけるFGF-10とKGFの役割を検討した.ヒト子宮内膜癌細胞株HEC-1細胞においてKGFとKGFR遺伝子発現がみられたが,FGF-10遺伝子発現は観察されなかった.分泌期子宮内膜間質細胞においてKGFとFGF-10遺伝子発現の増強を認めた.KGFあるいはFGF-10の添加は,HEC-4細胞の増殖を濃度依存性に促進した.KGFあるいはFGF-10による細胞内シグナル伝達の解析をWestern法を用いて行った.KGFとFGF-10の添加と,MAPK(ERK1/2),Akt, PKC(pan)およびSTAT3と核内転写因子耳Elk-1,c-myc, c-fosの蛋白発現量の変動について検索した.、KGFとFGF-10は,シグナル伝達分子のうちERK1/2蛋白のみをリン酸化し,Elk-1およびc-myc蛋白の発現を増強した.MEK1/2阻害剤(U0126)によりERK1/2蛋白のリン酸化を抑制すると,KGFとFGF-10の細胞増殖促進効果は著しく減弱した.KGFとFGF-10は,オートクリンとパラクリン機構によりMAPK系を介して子宮内膜癌細胞の増殖を促進することが初めて示された.
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Research Products
(1 results)