2000 Fiscal Year Annual Research Report
ヘムオキシゲナーゼによる精巣のストレス感知機構と造精機能制御の分子基盤
Project/Area Number |
12770931
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小澤 伸晃 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70224219)
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Keywords | ヘムオキシゲナーゼ / カドミウム / Lexdig細胞 |
Research Abstract |
Wistar系雄性ラット(280〜320g)を実験に供し、免疫染色によりHO発現部位を同定し、重金属であるカドミウムの投与(20μmol/kg皮下注)によるHOの誘導を酵素活性の測定、Western blotting法により検討した。 HO-1はSertoli細胞と間質のマクロファージに局在がみられ、HO-2は精細胞に限局し、精細管内腔に向かい分化度が進むに従い染色性が増加する傾向を示した。カドミウムを負荷すると、精巣組織は著明な壊死や精細胞の脱落を認め、免疫染色の結果ではLeydig細胞におけるHO-1の染色性が増加した。ミクロゾーム分画のHO酵素活性をヘミン投与後のビリルビン産生より検討すると、最終的には精細胞の壊死のためか全体の活性は減少したが、HO-1特異的活性はカドミウム投与後12〜24時間後をピークに著明に増加し、Western blotting法による蛋白の発現も同様の傾向となった。一方ミクロゾーム分画中のP450量はカドミウム投与により減少し、ステロイド代謝は抑制されていると考えられた。以上より精巣では間質に存在するLeydig細胞が外的刺激に対して急速にHO-1を誘導するストレス感知細胞として働き、男性ホルモンの産生や精子形成などの精巣機能を制御している可能性が考えられた。今後はHO上昇によりP450代謝や精子形成能が変化する具体的なメカニズムを分子論的に解析する必要がある。
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