2000 Fiscal Year Annual Research Report
顔面神経麻痺モデルにおける神経内微小血管形態および組織形態の観察
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12770998
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
小松崎 靖 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (70301611)
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Keywords | 顔面神経麻痺 / ウサギ / 血管 |
Research Abstract |
我々は家兎を用いて、硫酸バリウム(消化管造影用バリウム流動ペースト)による、microangiographyを行い、その後神経を摘出し、神経線維を透明化処理することによって、バリウムの残留した微小血管を実体顕微鏡を用いて観察する方法から、神経の微細な血管形態を描出し得たこと、またこれにより神経内の微小血管系はintrinsic blood supplyおよび、extrinsic blood supplyより成り、各々は吻合する血管により豊富な潅流を有していることが立体的に観察されたことを報告した(小松崎靖et al.家兎顔面神経麻痺モデルでの回復過程における神経内血管形態および組織形態の観察.聖マリアンナ医誌.,27:705-713,1999)。今年度の主たる実験の目的は、顔面神経麻痺モデルにおいて、神経の再生過程での血管形態の経時的変化と組織学的変化を比較、観察することにあった。家兎における顔面神経麻痺モデルの作製は鼓室内に液化プロパンガスを噴霧することにより行った。麻痺の発現は肉眼的所見と併せてENoGで確認し、記録した(麻痺発現率約60%)。麻痺確認後、2日後、7日後、14日後、28日後に、それぞれ硫酸バリウムを潅流し、側頭骨を摘出、ホルマリン固定後脱灰処理を行い、顔面神経管周囲組織ごとSpalteholz法に準じて組織透明化標本を作製し、併せてLuxor Fast Blue染色を行い、神経の変性、脱髄変化について光顕的に観察した。麻痺発現モデルにおいて、染色標本ではいずれにも顔面神経の脱髄、変性が認められ、また微小血管の形態変化が観察された。麻痺の程度によりこれらの形態変化には差異が認められた。麻痺の発現率を向上させること、麻痺程度の制御が技術的に可能か検討すること、神経の再生過程において特徴的な経時的変化が観察されるかを次年度の検討課題とする予定である。
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