2000 Fiscal Year Annual Research Report
実験的ぶどう膜炎のマウス前房における局所免疫機構の分子解析
Project/Area Number |
12771018
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
太田 浩一 信州大学, 医学部・附属病院, 講師 (70262730)
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Keywords | ぶどう膜炎 / 前房水 / 免疫制御因子 / TGF-beta / T細胞増殖反応 |
Research Abstract |
正常眼の前房水にはTGF-betaをはじめとする免疫制御因子が含まれており、光学的透明性の維持に寄与している。ぶどう膜炎眼においては炎症性サイトカインが産生され、眼組織が障害を受けているが、免疫抑制的環境への影響はいまだ検討されていない。 マウスにリポポリサッカライド(LPS)を投与し、エンドトキシン誘発ぶどう膜炎モデルを作成した。LPS投与後、2,4,6,8,12,24,48時間後に前房水を採取した。 1、前房水中のタンパク濃度は4時間後から上昇し、12または24時間後がピークとなり、炎症細胞数も12または24時間後の前房水から検出できた。 2、チミジン取り込みによる抗CD3抗体刺激T細胞増殖反応の系に前房水を20%の濃度で加えた。正常前房水はT細胞増殖を抑制したが、LPS投与後4〜24時間の前房水はT細胞増殖を抑制できなかった。 3、この炎症性前房水のT細胞増殖促進に関しては前房水中のLPSの影響の可能性があるため、前房水中のLPS濃度を測定した。LPS投与後8,12,24時間後の前房水からは高濃度のLPSが検出された。 4、しかし、LPSで刺激されないマウスのT細胞を用い、同様の増殖反応をみたところ、上述の結果同様、4から24時間後の前房水にはT細胞増殖を抑制する作用が消失していた。 5、以上より、正常前房水のもつT細胞増殖抑制力は炎症眼では消失していることが明らかとなった。LPS以外の因子と考えられたので、既知の前房水中の免疫制御因子であるTGF-betaの減少を疑い、バイオアッセイおよびELISAによる定量を行った。しかし、減少はみられず、むしろ正常眼より増加していた。 今後は、本モデルで既報の炎症性サイトカインを中心に検索し、疑われる因子に対する中和抗体を用いたT細胞増殖反応を行い、免疫抑制的環境破綻の主要因子の解明をすすめる予定である。
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