2000 Fiscal Year Annual Research Report
網膜虚血再灌流障害における神経細胞死とアポトーシス関連遺伝子群の発現制御
Project/Area Number |
12771020
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
黒岩 さち子 信州大学, 医学部・附属病院, 助手 (60313863)
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Keywords | 神経細胞死 / apoptosis / Bcl-2 / cytochorome C / caspase family |
Research Abstract |
本年度は、ラット網膜虚血再灌流障害モデルを作成し、このモデルにおける1)アポトーシスの確認、2)アポトーシス関連遺伝子発現の組織学的検討、3)アポトーシス関連遺伝子発現の分子生物学的検討を研究の中心とした。 1.ラットを材料に視神経結紮法、及び眼圧上昇法において、再灌流後発生するアポトーシスの経時的変化をTUNEL陽性細胞を定量し、このモデルにおけるアポトーシスのピークが再灌流後12時間から24時間であることを、再現性をもって確認できた。さらに、電子顕微鏡学的所見、DNA ladder formationからも両モデルにおいてアポトーシスの存在が確認できた。 2.再灌流後3,6,9,12,24,36,48,72,120時間ごとに免疫染色用にブロックを作成し、Bcl-2,Cytochrome C,Caspase3の発現を免疫組織化学的に検討した。Bcl-2の発現はグリア細胞であるアストロサイト及びミューラー細胞で発現が認められ、これらグリア細胞はTUNEL陽性細胞を取り囲むように突起を伸ばしており、アポトーシスの抑制に関与していると考えられた。一方、Cytochrome C,Caspase 3はアポトーシスを起こしている網膜神経節細胞、内顆粒層細胞で発現を認めた。 3.2で得られた情報をもとに網膜虚血再潅流障害において遺伝子レベルでの発現を検索するため、RT-PCRによる、発現の経時変化を検討した。その結果、Bcl-2の発現は12時間から24時間でピークとなっていた。Cytochrome C,Caspase 3に関しては、9時間から12時間にピークを認め虚血再灌流モデルにおいてもアポトーシスとの関連が示唆された。 以上の結果より、ラット網膜虚血再灌流障害によりアポトーシスが生じていること、またその関連遺伝子としてCytochrome C,Caspase 3の関与、及びグリア細胞におけるBcl-2の発現によるアポトーシスの抑制が行われていることが示唆された。
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