2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12771036
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Research Institution | 大分医科大学 |
Principal Investigator |
松本 惣一 セルソ 大分医科大学, 医学部, 助手 (00305054)
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Keywords | 黄斑部 / 桿体細胞 / 黄斑部局所ERG / 網膜電図 |
Research Abstract |
桿体細胞は網膜全体に存在している。全視野ERGを用いた研究でその全体的な生理的機能は解明されつつある。しかし、視機能に重要な黄斑部局所での桿体細胞の役割については、未だよく知られていない。そこで我々は局所ERGを用いることで、黄斑部局所における桿体成分の検出を試みた。 方法:錐体系の局所ERG装置(眼紀50:437-442、1999年)を用いた。対象は20歳代の眼疾患を持たない6例6眼(屈折異常-4D以内)で、30分の暗順応後に黄斑部局所ERGを記録した。背景光をoffの状態で、大きさ5゜の青色光(470nm)のスポット刺激(1.5cd/m2)を(1)黄斑部中心窩、(2)中心窩より15°耳側網膜、(3)視神経乳頭上に照射し、各々400回加算平均した。暗順応下での桿体成分の検出を妨げないように、この刺激光は暗くそのままでは観察できない。そこで、観察装置として近赤外線カメラを従来の局所ERG装置に組み合わせた。赤外線カメラを通した眼底画像をモニターに映し出すことで、リアルタイムでの眼底観察が可能になった。この工夫により暗順応の状態を保ちながら、任意の局所部位における桿体ERGの検出が可能となった。 結果:(1)黄斑部中心窩と(2)15°耳側網膜の局所ERGで、全視野ERGと類似した70〜80msecに頂点潜時をもつ陽性波が得られた。その振幅は、(1)黄斑部中心窩で2〜3μV、(2)耳側網膜で約5〜6μVであった。(3)視神経乳頭上での局所ERGはnon-recordableであった。 結論:本装置により任意の局所において、錐体成分の混入のない純粋な桿体成分のERGを検出することに成功した。今後、本装置を用いることで黄斑部疾患における桿体細胞の機能変化の解明が可能となると思われた。
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