2000 Fiscal Year Annual Research Report
斑状角膜ジストロフィ角膜におけるケラタン硫酸硫酸転移酵素の生化学的・分子遺伝学的検討
Project/Area Number |
12771047
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
北田 浩美 順天堂大学, 医学部, 助手 (70322451)
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Keywords | 斑状角膜ジストロフィ / ケラタン硫酸プロテオグリカン / ガラクトース6-硫酸転移酵素 / N-アセチルグルコセミン6-硫酸転移酵素 / 円錐角膜 |
Research Abstract |
目的;斑状角膜ジストロフィ(MCD)は常染色体劣性の角膜混濁性疾患であり、視力の低下をまねく。MCD患者角膜では糖鎖に結合する硫酸基数の少ないケラタン硫酸が存在することが報告されている。我々はMCD角膜においてケラタン硫酸硫酸転移酵素;ガラクトース6-硫酸転移酵素(Gal6ST)とN-アセチルグルコサミン6-硫酸転移酵素(GlcNAc6ST)のいずれかの活性低下があると考え、先に報告した両酵素活性の検出法を用いて、患者角膜におけるGal6STおよびGleNAc6STの活性測定を試みた。 方法;手術摘出したMCD角膜、円錐角膜および解剖検体より摘出した正常角膜の一部で凍結切片を作成し、ケラタン硫酸の硫酸基を認識する抗ケラタン硫酸抗体(5D4)で免疫組織染色を行った。残りの角膜片より角膜抽出液を作成し、角膜におけるGal6ST活性とGlcNAc6ST活性を検出した。Gal6ST活性については部分的脱硫酸化ケラタン硫酸を基質とする硫酸転移反応を用いて硫酸供与体である[^<35>S]PAPSから[^<35>S]硫酸を転移させ、その放射活性を測定した。GlcNAc6ST活性についてはケラタン硫酸と同じ骨格構造をもつ3糖(GlcNAc-Gal-GlcNAc)の非還元末端GlcNAcへの硫酸転移反応を行い、転移された放射活性を測定した。反応生成物をHPLC・電気泳動で分離・精製後、ヒドラジン分解・亜硝酸分解・NaBH_4還元反応によって硫酸化糖アルコールにまで分解し、硫酸化糖アルコールの持つ放射活性を測定した。 結果;MCD角膜では実質の抗5D4抗体染色性が著しく低下していた。Gal6ST活性はMCD角膜、円錐角膜、正常角膜間で差は認められなかったが、GlcNAc6ST活性については円錐角膜、正常角膜に比べMCD角膜における値が有意に低下していた。 結論;患者角膜におけるGlcNAc6ST活性の低下が角膜での硫酸化が障害され低硫酸化ケラタン硫酸が合成をされ、角膜混濁を生じている可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)