2001 Fiscal Year Annual Research Report
ラット胎児胸腺の移植を受けたヌードマウスに発症した自己免疫性角膜炎の免疫病理学的検索
Project/Area Number |
12771050
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
浅谷 哲也 東京医科大学, 医学部, 助手 (60276889)
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Keywords | 自己免疫性角膜炎 / 抗角膜抗体 / ヌードマウス / ラット / 異種胸腺移植 |
Research Abstract |
目的:ヒトの蚕食性角膜潰瘍の炎症部位にはリンパ球、形質細胞などが浸潤し、免疫グロブリンや補体の沈着も観察されるなど自己免疫の関与が推測されている。BALB/cマウスに異種胸腺を移植すると角膜炎が自然発症する。この角膜炎における自己免疫の関与を検討した。 方法と結果:4週齢雌のBALB/cヌードマウスの腎被膜下に胎児胸腺2葉を移植しTGヌードマウスを作成した。移植した胸腺は胎齢15日のF344ラットと胎齢14日のNZBマウスおよびBALB/cマウスか採取した。 F344ラットの胸腺を移植したラットTGヌードマウス(RTGNM)にのみ角膜炎が認められ、病理像は単球や好中球の角膜実質および表層への浸潤と著明な血管新生であった。そしてRTGNMのすべての血清より角膜上皮、実質と反応する抗体を認め、抗体の吸収試験では、角膜の均質液と血清との反応で抗体価は完全に消失した。また角膜炎の実質、特に基底膜の周囲に免疫グロブリンや補体の沈着が観察された。RTGNMの脾細胞(2×10^7)を4週齢の無処置雌ヌードマウスの腹腔に移入したところ、ドナーと同様の角膜病変が観察された。さらに脾細胞中のCD4陽性細胞を削除してお<と、病変は移入されないことからCD4陽性細胞がエフェクターであることが判明した。 考按:RTGNMに発症した角膜炎と蚕食性角膜潰瘍とが病態的にも免疫学的検索でも極めて類似し、またこの角膜炎の発症にも自己免疫の関与が強く示唆された。RTGNMでは胸腺上皮細胞が移植された異種の組織から構築されているために、胸腺における自己と非自己を認識させるT細胞の教育や必要な情報が欠如していると考えられる。その結果角膜をはじめ臓器特異性自己免疫病が多発すると推察した。
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Research Products
(1 results)