2000 Fiscal Year Annual Research Report
成熟ラットを用いた脊髄再生の研究及び再生に至適な合成材料の開発
Project/Area Number |
12771065
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
片岡 和哉 京都大学, 医学研究科, 助手 (10314189)
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Keywords | 脊髄再生 / アルギン酸 / 脊髄損傷 / グリオーシス |
Research Abstract |
(方法)生後30日のラットの脊髄を胸髄の中央部あたり(Th6-7)で2箇所切断し、その間の部分を除去することで、約2mmのギャップを作成した。このギャップに、われわれの施設で開発してきた凍結乾操アルギン酸スポンジを移植(充填)し、閉創した。このラットを2〜8週間飼育し、2週目及び8週目で潅流固定し、免疫組織化学染色、光学顕微鏡、電子顕微鏡を用いて、充填したアルギン酸、脊髄膠組織、再生した脊髄内軸索を観察した。(結果)ギャップに何も移植しなかったコントロール群と比べて、脊髄の切断端における脊髄組織の変性の度合い、空胞形成、グリオーシス等はアルギン酸を移植したラットでは明らかに少なかった。アルギン酸移植したラットでは、脊髄内軸索がギャップ内に侵入して再生・伸長している所見が得られた。また星状膠細胞の突起もギャップ内に伸長し、一部の脊髄に軸索はこの突起に沿って伸長していた。電子顕微鏡所見では、コントロール群の場合、術後早期より脊髄断端の星状膠細胞の表面に基底膜が形成されるのに対して、アルギン酸移植群では基底膜の形成が少ないことがわかった。(考察)切断した脊髄にアルギン酸を移植することで、脊髄内軸索が一部再生することが確認された。これは、移植したアルギン酸が、脊髄断端での瘢痕・グリオーシスの形成を抑制し、脊髄内軸索の再生・伸長に良好な環境を作り出していることによるのであろうと思われた。損傷された脊髄組織の変性を抑制し、星状膠細胞表面の基底膜の形成を抑制することで、星状膠細胞の突起、軸索の伸長を阻害する物理的、化学的要因を除去することで、軸索の再生・伸長を促しているのではないかと思われた。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Kataoka K.: "Alginate, a bioresorbable material derived from brown sea-weed, enhances elongation of amputated axons of spinal cord in infant rats."Journal of Biomedical Materials Research. 54. 373-384 (2001)