2001 Fiscal Year Annual Research Report
骨代謝における性ホルモンとその標的遺伝子の役割に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
12771084
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
樋山 伸二 広島大学, 歯学部, 助手 (60314754)
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Keywords | 骨形成系細胞 / エストロゲン / 骨髄骨 / in vitro / 遺伝子発現 / 骨基質形成 |
Research Abstract |
成熟雄ウズラの大腿骨および脛骨の骨髄細胞を採取し、エストロゲン添加あるいは無添加の培地で培養を行い、骨形成系細胞への分化および基質形成とその基質の石灰化に及ぼすエストロゲンの影響を検討し、以下の結果を得た。 1.成熟雄ウズラから採取された細胞は、培養初期では単核で球形を呈していたが、培養が進むに連れて骨形成系細胞が示す紡錘形を呈した。さらに、増殖に伴い小結節を形成し、これらの細胞が骨芽細胞の指標酵素であるアルカリホスファターゼ活性を有することが示された。しかしながら、同時に多核の破骨細胞様細胞が多数認められ、それらの細胞がドミナントになることにより、骨形成系細胞の増殖が阻害され、基質形成および石灰化には至らなかった。さらに、エストロゲンの影響はこれらの過程の中で見い出されなかった。 2.1.の結果から、骨髄中における間葉系幹細胞の骨形成系細胞への分化の誘導および破骨細胞様細胞の出現を抑制するために、成熟雄ウズラにエストロゲンを投与し、in vivoにおいて最も破骨細胞数の少ない時期に骨髄細胞を採取し培養を行い、また回収した浮遊細胞についても同様に培養を行った。しかしながら、1.と同様の結果を示した。 3.1.と2.の結果から、骨髄中に骨形成系細胞に分化する間葉系幹細胞が存在することが示唆された。しかしながら、破骨細胞様細胞の出現により、骨形成系細胞の増殖が抑制されたため、骨基質形成および石灰化に至るまでの結果は得られなかった。これらの結果は、哺乳動物を用いた研究においては認められないことから、骨髄骨のように短期間でリモデリングが行われる骨に特異的なことであることが示唆された。今後、これらの問題点に焦点を当て、鳥類の骨髄骨におけるエストロゲンと骨形成系細胞との関係を解明し、さらに哺乳動物における性ホルモンと骨代謝の関係を検討する必要があると推察された。
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