2000 Fiscal Year Annual Research Report
マウス二次口蓋形成を支配する遺伝子群と口蓋裂発症の分子機構
Project/Area Number |
12771097
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
田谷 雄二 日本歯科大学, 歯学部, 講師 (30197587)
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Keywords | 二次口蓋形成 / 胎生期マウス / MEE細胞 / 口蓋突起挙上 / 細胞接着 / 上皮間葉転換 / δEF1転写因子 / endothelin-1 |
Research Abstract |
二次口蓋形成は上顎突起から一対の口蓋突起の発生を起点として、舌側面に沿った下方伸長、舌上方への挙上から水平方向への伸長、左右突起間での接着と癒合、上皮索の消失と間葉組織の合流の段階を経て完了する。口蓋突起の挙上現象は左右突起MEE細胞の接着・癒合・消失とともに口蓋形成を特徴づける表現型であり、口蓋突起の構成成分(上皮・間葉細胞、細胞外基質)のダイナミックな変動とともに、舌をはじめとする周囲組織との相互作用が複雑に働いていることが想定される。本研究においては、挙上現象と上皮索の消失(細胞死、移住、上皮間葉転換)の分子機構に注目し、野生型およびδEF1欠損、endothelin-1(ET1)欠損の各マウスモデルにおいて、免疫染色、in situ hybridizationにより、MEE細胞、予定口腔上皮、予定鼻腔上皮に現われる細胞表現型について調べている。本年度においては、当初の計画に従い、異なる胎生時期(E13-E18)のマウス(野生型、δEF1欠損、ET1欠損)を対象として、顎顔面の前頭断連続標本を作製、突起構成成分の変動と口蓋形成の進行(その障害)について観察した。さらに、これらの動物モデルから採取した口蓋突起を器官培養し、MEE細胞の接着癒合能について検討した。δEF1欠損マウスは100%の発症率で口蓋裂を発症するが、MEE細胞自体は接着癒合に向けた分化の方向付けを受けており、この口蓋裂の原因として、メッケル軟骨の形成不全と関連した口蓋突起の挙上不全が示唆された。次年度においては、下方伸長期から間葉融合に至る時間枠での突起構成成分の変動(細胞増殖、基質産生量とその局在変化)について定量的な解析を継続し、確立した培養系において救助機能を発揮しうる因子の探索をすすめる。
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Research Products
(1 results)