2000 Fiscal Year Annual Research Report
歯・唾液腺発生過程でのプロセシング酵素PACE4の発現制御機構及び生理機能の解明
Project/Area Number |
12771107
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
赤松 徹也 徳島大学, 歯学部, 助手 (80294700)
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Keywords | プロセシング / 口腔組織 / サチライシン様プロ蛋白質変換酵素 / 歯牙形成 / 骨形成蛋白質 / 唾液腺 / 分枝形成 / bHLH型転写因子 |
Research Abstract |
口腔組織の形態形成及び機能発現におけるサチライシン様プロ蛋白質変換酵素SPCの生理機能解明のため,歯・唾液腺の発生・分化過程でのSPCの発現をin situハイブリダイゼーション,RT-PCR等により解析した.歯の発生では,歯牙形成に重要な骨形成蛋白質BMPsの発現とよく一致してSPCの1つ,PACE4が発現し(Akamatsu et al.1999),その発現はエナメル芽細胞と象牙芽細胞の成熟化に応じて高度に制御されているのに対して,他のSPCは発生過程とは無関係にほぼ一定レベルで発現すること(Akamatsu et al.2000)から,PACE4が歯牙形成時の最も有力なBMPsのプロセシング酵素であり,BMPs等の活性化を介して歯の形成と密接に関わると考えられた.一方,唾液腺の発生過程でもPACE4は胎生15日の唾液腺原基の上皮-間葉両組織で発現するが,胎生17日では唾液腺上皮に限局して発現し,間葉組織での発現は認められなかった.分枝形成が進むと,本酵素は主として腺房細胞に発現し,特定の細胞に強く発現する傾向が見られた.更に分化が進むにつれ,本酵素の発現はより局在化し,生後30日では腺房細胞での発現は激減し,導管部で強く発現した.このPACE4の発現も唾液腺成熟化過程で高度な,又,歯牙形成時とは異なる調節を受けているが,他のSPCではこの様な発現調節は見られなかった(未発表),本研究によりPACE4は上皮-間葉相互作用に関与する因子の活性化を介して口腔組織発生に重要な役割を果たし,本酵素遺伝子プロモーター領域の構造から,その発現はbasic Helix-Loop-Helix(bHLH)型転写因子により,組織・細胞特異的に複雑に制御されていると考えられる(解析中).
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