2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12771112
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
通川 広美 日本大学, 松戸歯学部, 副手 (00277477)
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Keywords | ホスホジエステラーゼ / サイクリックGMP / 唾液腺 / カルシウムイオン |
Research Abstract |
1.ウサギ顎下腺遊離細胞におけるムスカリン性受容体刺激によるサイクリックGMP量の調節 摘出顎下腺のトリプシンおよびコラゲナーゼ処理により得られた遊離細胞では、メサコリンによるムスカリン性受容体刺激により、サイクリックGMP(cGMP)量が持続的に上昇した。またメサコリン濃度依存的にcGMP量が上昇した。このことは、ムスカリン性受容体と共役したcGMP調節系が顎下腺に存在することを示唆している。 2.ホスホジエステラーゼ阻害薬の効果(1)非選択的阻害薬の効果 ホスホジエステラーゼ(PDE)非特異的阻害薬IBMXは単独でcGMP量上昇させた。IBMX存在下にメサコリンを投与すると、メサコリンによるcGMP上昇は約10倍に増大した。このことは、ムスカリン性受容体刺激により生じたcGMPのほとんどがPDEにより積極的に分解されていることを示唆している。 3.ホスホジエステラーゼ阻害薬の効果(2)選択的阻害薬の効果 各種選択的PDE阻害薬がメサコリンによるcGMP上昇に与える影響について検討したところ、PDE1阻害薬およびPDE2阻害薬が顕著なcGMP量の増大を引き起こした。PDE1は、カルシウム・カルモジュリンにより活性化される性質をもつので、カルシウム制御とPDE1活性化との関係についてさらに検討した。 4.ムスカリン性受容体によるカルシウムイオン調節 細胞内カルシウムイオン濃度は、メサコリン刺激により持続的に上昇した。細胞内カルシウムイオン濃度は、メサコリン濃度依存的に上昇した。 5.PDE1の精製 イオン交換クロマトグラフィーにて顎下腺可溶性画分からPDEを分離したところ、カルシウム・カルモジュリン依存的に活性化するアイソザイムとカルシウム・カルモジュリン非依存的なアイソザイムが得られた。前者はPDE1阻害薬に対し、後者はPDE2阻害薬に対し高い感受性を示した。現在ウサギ顎下腺から部分精製したPDEの酵素学的性質について検討を続けている。
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