2000 Fiscal Year Annual Research Report
口腔ジスキネジア発症に関わる大脳基底核機能の行動薬理学的検討
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12771114
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
池田 弘子 日本大学, 歯学部, 助手 (70297844)
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Keywords | ドパミン / GABA / 側坐核 / ventral palliudm |
Research Abstract |
口腔ジスキネジアの発症メカニズム解明には、大脳基底核についての広い観点からの知識の集積が必要とされる。ラットの片側坐核shellドパミン(DA)受容体刺激により著明な非刺激側への回転行動が誘発され、このモデルが大脳基底核機能の基礎的な研究に極めて有用であると考えられる。この側坐核DA受容体刺激誘発回転行動の発現に関与する遠心性投射路の一つとして、側坐核からventral pallidum(VP)へのGABA性の投射が考えられる。そこで本研究ではVPに注目し、まず本年度は、VPのGABA性機能の左右的不均衡がラットの回転行動発現に関与するか否かを検討した。 片側のVPにGABA_A受容体agonistのmuscimol(10-50ng)を注入すると著明な回転行動が発現した。VPは吻側から尾側に向かって細長い形態をしているので、Paxinos & Watsonのアトラスに従いVPを4部位に分け、muscimol(25ng)誘発回転行動に機能局在が存在するか否かを検討した。その結果、A8.7-8.45の範囲で最も著明な回転行動が発現し、A9.0-8.75でも中程度の回転行動が発現した。しかし、A9.3-9.05およびA8.4-8.15ではほとんど発現は認められなかった。また、muscimol(25ng)誘発回転行動は、GABA_A受容体antagonistのbicuculline(150ng)を併用注入することで著明に抑制された。一方、bicuculline(150ng)の単独投与では、投与直後にわずかな非注入側への回転行動が発現したのみであった。 以上の結果から、片側のVPのGABA_A受容体を刺激することで著明な回転行動が発現し、さらに、A8.7-8.45の範囲のVPが最も重要な役割を果たすという、VP内での機能局在の存在が明らかとなった。
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