2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12771122
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山田 信一 広島大学, 歯学部, 助手 (10263724)
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Keywords | 高齢者 / 嚥下 / 歯牙 / 口腔通過時間 |
Research Abstract |
無歯顎者の嚥下動態の評価を行っているが,患者により嚥下動態が様々であり,歯牙喪失の影響なのか加齢による影響なのかは明確になってこない。そのため義歯の使用による嚥下に対する有用性が,単に歯牙喪失に対するものか,老化に対しするものか見えてこない。そこで歯牙喪失を伴ない高齢者と青年と比較することにより老化の影響を明らかにした。 対象は智歯を除いた残存歯牙数23本以上を持つ80歳以上の高齢者(平均80.4歳)8人と智歯を除いた欠損歯がない青年(平均25歳)8人で行った。方法は10倍希釈のバリウムを3回嚥下させ,側方からDSAにて撮影を行った。 結果は分割嚥下が高齢者で5人,青年で1人,また高齢者のみで未熟嚥下3人,嚥下後の造影剤の喉頭蓋谷や梨状陥凹への残留4人で認めた。時間分析では口腔通過時間と咽頭通過時間では優位の差で高齢者の方が時間の延長を認めた。しかしながら嚥下反射遅延時間に優位の差を認めるなかった。嚥下時の喉頭の動きは優位差で高齢者の方が大きかった。 分割嚥下は主に口腔から咽頭への送り込み能力の低下,また嚥下後の造影剤の喉頭蓋谷や梨状陥凹への残留は主に咽頭期収縮の低下を示し,また時間分析の結果も合わせて考えれば,過去言われてきた歯牙喪失が口腔期の嚥下能力低下の原因であるだけではなく,歯牙が残存しても老化によって起こりうることが,示唆された。また同時に咽頭期の嚥下能力低下も存在していることも示された。
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