2000 Fiscal Year Annual Research Report
骨芽細胞におけるPTH/PTHrP受容体遺伝子発現調節に関する研究
Project/Area Number |
12771130
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Research Institution | Ohu University |
Principal Investigator |
川根 徹也 奥羽大学, 歯学部, 助手 (00265208)
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Keywords | PTH / PTHrP receptor / osteoblast / MAP kinase / PTH |
Research Abstract |
副甲状腺ホルモン(PTH)は骨芽細胞に作用して、コラーゲン分解酵素や破骨細胞活性化因子であるRANKLの発現を誘導することで、骨吸収を促進させるカルシウム代謝調節ホルモンである。本研究では、このPTHの受容体であるPTH/PTHrP受容体(PTHR)の遺伝子発現に影響を与えるシグナル導入経路を、ラット骨芽細胞様細胞株であるUMR106を用いて解析するとともに、このシグナルの影響がおよぶPTHR遺伝子プロモーター領域上の作用部位についても検討したところ、以下のような結果が得られた。(1)フォルスコリンもしくは(Bu)_2cAMPによるPTHR mRNAレベルの低下作用は、PKA阻害剤であるH89およびタンパク質合成阻害剤であるシクロヘキシミドによっては阻止されなかった。これよりcAMPレベルが上昇するとPTHR mRNAレベルは低下するが、この現象にはPKA経路を介さない別の経路が働くことおよび既存のタンパク質の修飾によることが予想された。(2)正常ラットのゲノムライブラリーを作製し、これよりプロモーター領域を含むクローンを得ることで、ラットPTHR遺伝子のエクソンU1から上流約6.9kb(エクソンU2、U3を含むBamHI-BamHIフラグメント)のプロモーター領域およびエクソンU1-S間のイントロン(BamHI-NaeIフラグメント)の塩基配列を決定した。これより、骨芽細胞で主に利用されると考えられている下流側プロモーターであるU1プロモーターにはTATA boxはなかったが、Sp1サイトおよびMAZサイトは複数存在した。また、CREは見出せなかった。(3)(2)のプロモーター領域をdeletion法で短くしたフラグメントを用いてルシフェラーゼアッセイを行ったところ、PTHによるU1プロモーター活性の低下作用は、転写開始点までdeleteしても消失しなかった。これより、PTHシグナルの応答領域はエクソンU1の内側にある、もしくは、転写開始複合体にProtein-proteininteractionで作用する等が考えられた。また、MAPKシグナルによるU1プロモーター活性の低下作用は、エクソンU1-S間のイントロンおよびU1から上流6〜7kb付近の2ケ所存在することが示唆された。
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Research Products
(1 results)