2000 Fiscal Year Annual Research Report
共焦点レーザ顕微鏡によるヒト歯髄由来培養線維芽細胞の細胞内カルシウムの動態
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12771153
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
宮里 尚幸 日本歯科大学, 歯学部, 助手 (80307959)
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Keywords | ヒト歯髄培養細胞 / 水酸化カルシウム / アルカリフォスファターゼ活性 / オステオカルシン / オステオネクチン / RT-PCR法 |
Research Abstract |
本年度は,ヒト歯髄培養細胞を用いて水酸化カルシウムを培地に添加し,アルカリフォスファターゼ(ALPase)活性,オステオカルシンおよびオステオネクチンに及ぼす影響を検討し,さらにALPaseの遺伝子の発現について検討を行った。 本学附属病院に来院した患者にインフォームドコンセントを行い,同意を得た上で,矯正学的理由で抜去されたう蝕及び歯周疾患のないヒト第三大臼歯から歯髄組織を採取した。歯髄培養細胞は,10%牛胎児血清(FBS)を含むD-MEM/F-12培地を用い,37℃,5%CO_2の条件下で培養した。実験には3代の細胞を使用し,水酸化カルシウムを,それぞれ0.003%,0.01%,0.03%含有する培地で28日間培養を行った。水酸化カルシウムは,超純水で一晩攪拌することにより溶解させ,滅菌フィルターで濾過してからそれぞれの濃度に希釈して使用した。培養後の細胞について蛋白量(Lowry法),ALPase活性(Bessey-Lowry法),オステオカルシン量およびオステオネクチン量(EIA法)を測定した。ALPase遺伝子の発現に及ぼす水酸化カルシウムの影響は、水酸化カルシウム処理を行った細胞よりtotalRNAを回収し,RT-PCR法により検討した。 ALPase活性は,水酸化カルシウム濃度0.01%がもっとも高い値を示し次に0.003%が高く,特に培養14日目が最も高い活性を示した。この結果はALPase遺伝子の発現と一致していた。オステオカルシンは培養28日目において高く,特に0.01%が最も高い値を示し,ついで0.003%であった。また,オステオネクチンは水酸化カルシウムによる影響は認められなかった。水酸化カルシウムの添加は,ALPase,オステオカルシンの発現に関与することが示唆された。
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